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中村芳平「よくわかる外食戦争」

感動的に美味いビールの店が開店!地獄の居酒屋業から、ついにあの大手チェーンが脱却

文=中村芳平/外食ジャーナリスト

コロワイドMDがアサヒビール監修の新型ビアホール「THE DAD BOD」開店――大型居酒屋の業態転換候補に!

 コロワイドグループ(横浜市)は昨年12月、ビールとステーキ、デリカテッセンを売りにした新業態ビアホール「THE DAD BOD(ビール腹)」を開店し、不振の大型居酒屋からの業態転換に取り組んでいる。

 コロワイドは1977年に「手作り居酒屋 甘太郎逗子店」を開店したのが居酒屋事業のスタートだ。99年に現ジャスダックへ上場し、2000年10月に東証第2部へ上場した時の売上高は約170億円。02年に東証第1部へ指定替えとなって以降はM&A(合併・買収)戦略を繰り返し、業容を拡大した。

 デフレで居酒屋市場が縮小を続けるなかで、非居酒屋戦略に舵を切った。13年には焼肉「牛角」などを展開するレインズインターナショナル、14年には回転寿司「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトホールディングス(HD)を傘下に収めた。合計15回のM&Aを実施し、16年3月期では売上高2488億円を見込む。有利子負債は増えたが、国内外食産業界において売上高ランキングでは日本マクドナルドHDを抜き、ゼンショー、すかいらーくに次ぎ第3位に浮上する予定だ。

 15年3月末で居酒屋11ブランド(直営446店舗、FC206店舗)を主に牛角、かっぱ寿司など9ブランド、直営・フランチャイズ(FC)で2264店舗を数える。1業態で100以内の店舗を同一地域同一ビル内、郊外エリアなどに展開、「多業態ドミナント戦略」を推進している。

 そんななか、少子高齢化、若者のアルコール離れなどを背景に大型の居酒屋は集客に苦戦、再生が急務になっている。コロワイドはTHE DAD BODをそうした大型居酒屋業態に代わる受け皿に育成しようとしている。

1ポンドの塊ステーキが大人気

 コロワイド傘下のコロワイドMD(横浜市、四方田豊社長)が昨年12月14日に東京・品川駅港南口のWビル2階に開店したTHE DAD BOD(ビール腹の意味)は、ビアパブ・クラフトビール人気を受けて、アサヒビールの指導・監修で開発したビアホールだ。もともと主力業態の居酒屋甘太郎(300席)が営業していた場所だが低迷が続き、主力取引先のアサヒビールの薦めもあり、新型ビアホールに業態転換した。

 店舗改装の最大のポイントは、中央の100席のスペースを取り払い、そこに楕円型・長方形の大きなカウンターをつくり、正面中央に「ボールタップサーバー」を6台取り付けた。別に「スーパードライエクストラコールド」(アサヒ)の白いサーバーが取り付けられている。

中村芳平/外食ジャーナリスト

中村芳平/外食ジャーナリスト

●略歴:櫻田厚(さくらだ・あつし)

1951年、東京都大田区生まれ。高校2年生の時に父が急逝し大学進学を断念、アルバイトして家計を助ける。都立羽田高校卒業、広告代理店勤務。72年に14歳年上の叔父(モスフードサービス創業者・櫻田慧)に誘われ「モスバーガー」の創業に参画。フランチャィズ(FC)オーナーなどを経て、77年に同社入社。直営店勤務を経て教育・店舗開発、営業などを経験。90年、初代海外事業部長に就任、台湾の合弁事業の創業副社長として足掛け5年半でモスバーガーを13店舗展開。1985年の株式上場と244店舗展開(16年9月末)、そして同社の海外展開の基礎をつくった。慧氏は97年にくも膜下出血で急逝、享年60。櫻田氏は98年社長に就任、14年会長兼社長に就任し、今年6月、社長を常務取締役執行役員の中村栄輔氏(58)に譲った。社長交代は18年ぶりのことだ。櫻田氏は中村氏に国内事業、新規事業を任せ、海外事業に全力を注ぐ構えだ。「モスバーガー」を世界のブランドにするという、夢の実現に向かって挑戦しようとしている。

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