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中村芳平「よくわかる外食戦争」

感動的に美味いビールの店が開店!地獄の居酒屋業から、ついにあの大手チェーンが脱却

文=中村芳平/外食ジャーナリスト

ビールの美味しさを再確認する場

 今回コロワイドアサヒビールと連携して最高品質のビールとステーキ&デリカテッセンを扱う店舗を開店した意味は、決して小さくない。少子高齢化の進行、若者のビール離れなどで、ビール類市場及び居酒屋市場は長期低落を続け、縮小に歯止めがかからない。

 そんななか、アサヒはトップブランドのスーパードライのシェアを守り、再拡大を図るために氷点下2℃のスーパードライの飲めるエクストラコールドサーバーを開発。毎年技術を進化させ、固定ファンをつくってきた。

 今年は家庭用に氷点下ビールの飲める「エクストラコールドタンブラー」を開発、アサヒスーパードライに添付されているシール48枚をはがきに貼って応募すれば、もれなく当たるキャンペーンを行う。新年のアサヒのマーケティング戦略発表の記者会見に出席、冷凍庫で20時間以上冷やされた3層構造のステンレスタンブラーに6℃のビールを注いで60~90秒待ち、氷点下まで冷えたキレのよいビールを飲んだが、感動的なうまさだった。やはり、よく冷えたスーパードライはキレが増し、おいしさが一段と上がる。

 アサヒはビール減税に先駆けて、今年3月、7年ぶりの新ブランドとなる大型新商品「アサヒ ザ・ドリーム」を3月23日に発売する。主力ビールでありながら「糖質50%オフ」と健康志向を打ち出した。ビール復権の足がかりを得ようとしている。コロワイドMDと連携し新型ビアホール、THE DAD BODを展開するのも、ビール復権を願っているからだ。

 コロワイドMDが年内に同店の2店舗目の開店に踏み切るかどうか。今年の外食戦争の傾向と行方を占う意味でも、非常に興味深いのである。
(文=中村芳平/外食ジャーナリスト)

中村芳平/外食ジャーナリスト

中村芳平/外食ジャーナリスト

●略歴:櫻田厚(さくらだ・あつし)

1951年、東京都大田区生まれ。高校2年生の時に父が急逝し大学進学を断念、アルバイトして家計を助ける。都立羽田高校卒業、広告代理店勤務。72年に14歳年上の叔父(モスフードサービス創業者・櫻田慧)に誘われ「モスバーガー」の創業に参画。フランチャィズ(FC)オーナーなどを経て、77年に同社入社。直営店勤務を経て教育・店舗開発、営業などを経験。90年、初代海外事業部長に就任、台湾の合弁事業の創業副社長として足掛け5年半でモスバーガーを13店舗展開。1985年の株式上場と244店舗展開(16年9月末)、そして同社の海外展開の基礎をつくった。慧氏は97年にくも膜下出血で急逝、享年60。櫻田氏は98年社長に就任、14年会長兼社長に就任し、今年6月、社長を常務取締役執行役員の中村栄輔氏(58)に譲った。社長交代は18年ぶりのことだ。櫻田氏は中村氏に国内事業、新規事業を任せ、海外事業に全力を注ぐ構えだ。「モスバーガー」を世界のブランドにするという、夢の実現に向かって挑戦しようとしている。

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