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楽天 送料無料強行、国との対立深まる。ヤフーに身売りの“ZOZOの二の舞”懸念も

文=編集部
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楽天の三木谷浩史社長(撮影=編集部)

 作業服大手のワークマンが、楽天が運営するインターネット通販サイト「楽天市場」から2月28日に撤退することを決め、3月16日に自前の通販サイトをリニューアルオープンする。楽天経由の販売は、ワークマンのネット通販の2割を占めてきたという。今後は、店舗にある在庫をネットで注文して店舗で受け取るかたちをとる。同社の商品をネットで購入できるのは自社サイトのみ。店頭での受け取りが国内全店(857店)で可能になる。

 楽天が出店者に事実上の送料の負担を強いる「送料無料」を打ち出したこともきっかけとなり、ワークマンは自社サイトの利用を促す。ウォルト・ディズニー・ジャパンは2月14日、楽天市場店を閉め、アマゾンでの出品も終了した。「ディズニーストア店舗及びオンライン店をご利用くださいますよう、よろしくお願い申しあげます」としている。

一律送料無料化を宣言

「店舗の成長につながるのであれば、たとえ政府や公取と対峙しても必ず遂行する」

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は1月29日、都内で開いたイベントで、3月18日からの一律送料無料化策を予定通り導入することを改めて明言した。楽天市場の出店者は5万店弱で、各店の代表者ら約4000人が、このイベントに参加した。

 楽天は顧客が3980円以上の商品を購入した場合、沖縄や離島を除き送料を無料にする方針を示している。300店以上が参加する任意団体の楽天ユニオンが「一方的な送料負担で、赤字が増える」と反対を表明し、今回の規約改定が法にあたらないか調査を求める署名を提出、公正取引委員会は店舗側に事情を聞き始めた。公取委は独占禁止法で禁じる「優越的地位の乱用」にあたるかを調査する。

 三木谷氏は、1月29日のイベントで「アマゾン」の名を何度も口にした。楽天は1997年にネット通販、楽天市場を始めた。2000年、日本事業を始めたアマゾン・ジャパンに先行してきた。自社で商品を仕入れて配送する直販事業が主体のアマゾンでは、2000円以上を購入したり、会員制「プライム会員」になれば送料無料で利用できる。これを武器に売上を伸ばしてきた。三木谷氏は「(アマゾンに)負けているのは、送料のわかりにくさにある」とし、「これ(送料一律無料化)をしないと成長できない」と発言した。

 ワークマンの楽天市場からの撤退について、流通業界のトップは「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)の二の舞になるのでは」と呟く。楽天市場から撤退する出店者が相次ぐのではないかとの危惧だ。

ZOZOでは離反が相次ぐ

 アパレル通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOは18年12月、有料会員向け割引サービスを始めた。会員が税別で年間3000円か月間500円支払うと購入額の10%を割引する。割引額はゾゾタウンが負担するというものの、勝手に値引き販売されるわけだから、「ブランド価値が毀損する」との反発が巻き起こった。

 日本アパレル業界のリーディングカンパニーであるオンワードホールディングスを皮切りに、ゾゾタウンからの撤退が相次いだ。ミキハウス、ライトオン、ゴールドウィン、ナイキなど有名ブランドが撤退した。ゾゾは19年5月、有料会員向け割引サービスを終了した。新規事業として始めた独自の採寸スーツを使ったプライベートブランド(PB)商品が不発に終わり、業績が悪化。ヤフーへの身売りに追い込まれた。

 Zホールディングス(ZHD、旧ヤフー)は、ZOZOのTOB(株式公開買い付け)を実施し、発行済み株式の50.1%を4007億円で取得。19年11月、ZHDはZOZOを連結子会社に組み入れた。アパレル各社がZOZOから離反したことは、流通プラットフォームに頼らなくてもやっていける自信がついたことを意味する。主力の百貨店での販売が縮小するなか、アパレル各社は成長著しいネット通販に力を入れてきた。

 一方、ワークマンは、もともと職人の店として作業服や作業用品の販売が中心だったが、商品のラインナップを広げ、トレーニング用などの機能性衣料をヒットさせた。商品を店頭で受け取りやすい仕組みに変え、実店舗への集客や配送コストの削減を進める。利用者はサイト上で全店の商品在庫を確認でき、注文して店舗を指定すると、最短3時間程度で受け取ることができる。

 ワークマンが楽天市場から撤退し、自社サイトをリニューアルする。アマゾン・楽天のネット通販の2強に、実店舗が風穴を開ける挑戦となるのだろうか。

公取委は「実態で判断」

 三木谷氏は2月13日、「送料無料化」を「送料込み」の表記に修正する考えを明らかにした。公取委の菅久修一事務総長は2月19日の記者会見で「形式的な表記ではなく、実態からみて違反かどうかを判断するのが一般的だ」との見解を示した。楽天は「商品価格に出店者が送料を上乗せしやすい表記に変えた」としているが、菅久氏は「不当に不利益を与えていないかを具体的な事実に基づいて判断する」との基本姿勢を明確にした。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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