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武田薬品、没落鮮明に…世界で売れる製品涸渇、外国人社員とリストラが伝統的風土を破壊

文=編集部
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武田薬品、没落鮮明に…世界で売れる製品涸渇、外国人社員とリストラが伝統的風土を破壊の画像1武田薬品工業本社(「Wikipedia」より/Lombroso)

 長らく国内製薬業界で首位の座を占めてきた武田薬品工業の退潮が止まらない。

 武田は4月1日付で、テバファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)傘下の後発薬子会社、テバ製薬(名古屋市)の株式の49%を取得して合弁化するとともに、テバと共同で新たに武田テバ薬品(滋賀県甲賀市)という孫会社を設立し、同社に武田は特許の保護期限が過ぎた「長期収載品」と呼ばれる古い薬剤の大半を移管した。

 同時に、テバ製薬社長にはファイザー日本法人で長期収載品や後発薬ビジネスをみてきた松森浩士氏を招聘し、10月以降をめどに社名もテバ製薬から武田テバファーマへと改称する予定となっている。

 一読しただけでは理解しにくい提携スキームだが、単純化していえば武田の目的は薬価の集中攻撃的な引き下げを受けた結果、従来ほど儲からなくなった長期収載品事業の大半を本体から切り離し、新薬の研究開発と販促に全リソースを注ぎ込むことに尽きる。

 一方のテバの狙いは、武田というブランド力に松森新社長の采配力をプラスすることで、「鳴かず飛ばずの状態が続いてきた日本での後発薬事業の、抜本的なてこ入れを図ること」(経済紙デスク)にある。要するに両社とも、追い詰められた末に編み出した同床異夢のアライアンスなのである。

 加えて武田は、来年4月にはビタミン剤「アリナミン」、感冒薬「ベンザ」などで知られる一般用医薬品(OTC薬)や健康食品に関する事業も分社化する計画で、すでに受け皿となる全資出資の武田コンシューマーヘルスケアを設立済みだ。同社に移管される製品群のなかには2012年夏に米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)から引き継いだばかりの頭痛薬「タイレノール」など8製品も含まれる予定で、このことからも武田がOTC薬事業の将来性をすでに見限っていることが類推できる。

失われる武田の神通力

 こうした一連の構造改革を陣頭指揮しているのが、武田230余年の歴史のなかで初の“青い目の社長”となったクリストフ・ウェバー氏だ。14年6月に前社長の長谷川閑史会長に請われて英グラクソ・スミスクライン(GSK)のワクチン部門トップから武田の社長に就任。15年4月からはCEO(最高経営責任者)として、日本人社長であれば躊躇したり根回しの途中で頓挫したりするような武田の大手術に臨んでいる。

 誠実な仕事ぶりと日本的商慣習への寛容な理解など、評判は概ね悪くない。だが、「正直なところ、意欲や理念先行の空回り状態が目立つ」(前出デスク)状況で、何より日本人のプロパー社員との間に横たわるココロの溝が埋まっていない。

BusinessJournal編集部

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