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庭山一郎「BtoBマーケターの視座から眺めてみれば」

今の日本企業は、竹槍で大砲装備の米軍に抗う太平洋戦争末期の状況…まったく歯が立たず

文=庭山一郎/シンフォニーマーケティング株式会社代表取締役

今の日本企業は、竹槍で大砲装備の米軍に抗う太平洋戦争末期の状況…まったく歯が立たずの画像3『ノヤン先生のマーケティング学』(庭山一郎/翔泳社)

 こうして、国内・海外の二つの巨大市場でマーケティングの必要なく急成長できる環境が半世紀も続いてしまいました。その結果、天敵のいない南の孤島でドードーが翼を退化させていったように、日本企業はマーケティングを忘れてしまいました。

 しかし、海外市場での為替優位性も国内市場での消費の成長も完全に止まったリーマンショック以降の日本企業は、1600年代のドードーのように見えました。ドードーを襲った悲劇が日本企業に起きたのです。入植してきた人間の食料として乱獲され、彼らが連れてきた天敵によって安住の地を追われつつあるのです。

 マーケティングという翼と牙を持った天敵に対して、マーケティングのノウハウも組織も、その責任者であるCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)も持たない日本企業は歯が立ちません。海外市場はもちろん、国内でも外資系企業と戦って勝ち残っている分野はわずかです。

 日本企業がドードーのように絶滅しないためには、マーケティングを早急に強化するしかありません。今のように製品のスペックと営業部門の汗と足だけに頼っていては、竹やりで機関銃や大砲を装備した敵に戦いを挑もうとした太平洋戦争末期の二の舞になってしまいます。

今の日本企業は、竹槍で大砲装備の米軍に抗う太平洋戦争末期の状況…まったく歯が立たずの画像4『BtoBのためのマーケティングオートメーション 正しい選び方・使い方 日本企業のマーケティングと営業を考える』(庭山一郎/翔泳社)

 この状況は幕末に似て見えます。あの時の日本も250年の鎖国によって世界の文明から完全に遅れをとり、ドードーのように弱弱しく、ヨタヨタしていました。欧米列強から見れば赤子の手をひねるように征服できる国家だったのです。それに気づいた少数の下級士族が命を掛けて維新を断行し、服装や文化をはじめ何から何まで西洋から貪欲に学び、そのお陰で間一髪のところで欧米の植民地にならずに済んだのです。

 今、日本企業はマーケティングに投資すべきです。マーケティングのノウハウを蓄積し、人材を育て、組織を構築することを大車輪で断行すべきです。躊躇したり先送りしたりする余裕はもうありません。

 そして明治維新がそうであったように、情熱をもった若手と、一部の先見の明を持った経営者によって改革は成されるでしょう。私はそう信じています。
(文=庭山一郎/シンフォニーマーケティング株式会社代表取締役)

庭山一郎/シンフォニーマーケティング株式会社代表取締役

庭山一郎/シンフォニーマーケティング株式会社代表取締役

1962年生まれ。アスクプランニングセンター、日本オルテックを経て1990年にシンフォニーマーケティングを設立。データベース・マーケティングの導入コンサルティング、インターネット関連事業などを手がける。
実戦的なマーケティングの経験を基に法人営業(BtoB)の顧客・見込み客管理に特化したアウトソーシングビジネスに着手。 森林の再生をライフワークにするナチュラリストでもある。
シンフォニーマーケティング株式会社

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