ブラジャー市場が低迷期に突入するおそれが出てきた。
2014 年の女性用下着の市場規模は、小売り金額ベースで前年比 97.1%の 6440 億円で、3 年 連続の市場縮小となった。14 年は消費増税等の影響により個人消費が伸び悩み、景気回復の見通しも不透明だったことも原因のひとつだろう。しかし、女性用下着市場では、ここ数年ヒット商品が生まれず、メーカー各社は苦戦を強いられている。
市場全体が縮小傾向とはいえ、企業別に見てみると、女性用下着メーカー最大手のワコールホールディングスは、16年3月期の連結決算で売上高が前期比5.8%増の2029億1700万円、営業利益が同95.8%増の138億6500万円と堅調な数字を残している。
また、業界2位のトリンプ・インターナショナル・ジャパン、3位のブラデリスニューヨークも、詳細な決算数値は出ていないが好調な様相を呈している。
少子高齢化や市場成熟化の影響もあり、下着を含めた衣類の市場は全体的に縮小傾向であるのは、ある意味必然といえる。だが、ブラジャーに関しては、その自然の縮小幅よりも大きく縮小している可能性がある。
その原因は、08年にユニクロが発売した「ブラトップ」だ。ブラトップは、今や内側にブラパッドが付いたキャミソールやタンクトップを総称する名称として定着したが、このブラトップが楽すぎるがゆえに、多くの女性がブラジャーを着けなくなっているのだ。
大規模な調査結果はないため、その市場傾向を正確に知ることはできないが、筆者が独自に調査したところでは、40代以下の女性の9割近くはブラトップを所有している。そして、その大半が「一度ブラトップを着たら、手放せなくなる」と述べている。
では、ブラトップのメリットは、どのような点にあるのだろうか。ブラトップユーザーに聞いたところをまとめてみると、次のようになる。
・面倒なブラジャーを着けなくていい
・薄着をしてもブラジャーが透けるのを気にしなくていい
・ブラジャーは洗濯が面倒だが、ブラトップなら洗濯機に気軽に放り込める
・ブラジャーを着けてキャミソール、シャツまで着ると暑いが、ブラトップなら1枚で済む
・ブラジャーは、気に入ったものを買いたいが、値段が高い。普段はブラトップで、いざというときだけブラジャーを着ける