大塚家具の創業者で前会長の大塚勝久氏が立ち上げた「匠大塚」が6月29日、埼玉県春日部市にオープンしました。「インテリアのテーマパーク」を標榜し、フロア面積は約2万7000平方メートル、1階から5階まで高級家具・インテリアが厳かに整然と並べられています。
春日部には、勝久氏と骨肉の争いを演じた長女・大塚久美子氏が率いる大塚家具の春日部ショールームがあります。両店舗を比べると、規模の面では匠大塚が大塚家具を圧倒しています。
大塚家具は6月3日に、過去最大となる営業赤字を計上する見通しを発表しました。同社は高級家具路線から中級家具路線へと移行させていきましたが、業績は悪化しています。そうした中で、大塚家具がある春日部の地に匠大塚が出店することになり、大塚親子の直接対決が実際の店舗でも始まるということで話題を集めています。
勝久氏は大塚家具を潰しにかかっているようにみえます。これは、勝久氏と久美子氏の路線のどちらが正しいのかを示す戦いでもあります。戦いの火蓋が切られました。両者の店舗でどのような戦いが繰り広げられるのか、両者にはどのような違いがあるのか、筆者は実際の店舗を訪れて確かめることにしました。
超高級感を押し出す匠大塚
匠大塚では、店頭で販売員が来店客を迎え入れます。そして、販売員がフロアの誘導を行い接客します。接客を必要としない客は、店員に接客を断ることができます。店内は開放的で魅惑的な照明がフロアを照らし、高級感を漂わせる造りとなっていました。
1階には特別展示ブースがあります。両サイドには1台数億円というポルシェと数千万円のコンセプトカーを展示していました。どちらも超高級車ですが、販売員の説明によると、どちらも実売を狙っているのではなく、「値段は高くても良いものは末長く使える」という匠大塚のコンセプトを示す狙いで展示しているとのことです。
1~5階に国内外から選りすぐった高級家具・インテリアが展示されています。500万円以上する絨毯や300万円以上するシャンデリア、100万円以上するテーブルやベッドなどがありましたが、多くは数十万円の家具・インテリアで構成されていました。なかには1万円台など価格帯の低いものもありましたが、全体としては高価格帯での販売となっています。
匠大塚の家具・インテリアは、素人目で見ても質の良さがわかるものが多くを占めていましたが、言葉で説明されないとその価値がわからないものもありました。たとえば、「このテーブルに使われている木は、地中に埋もれていた屋久杉を掘り起こして使用している」といったことなどです。