関西国際空港が営業利益で成田国際空港を逆転した。3月末まで関西・大阪(伊丹)の両空港を運営してきた新関西国際空港会社の2016年3月期連結決算の本業の儲けを示す営業利益が前期比34%増の592億円となった。関空単体では同41%増の460億円で1994年に開港以来、初めて成田国際空港会社の営業利益、433億円を上回った。4月からオリックスなど関西の30社が出資とする関西エアポートに運営権が移り、今回が最後の決算となった。
売上高にあたる営業収益は同20%増の1845億円、関空単体では同26%増の1438億円だった。格安航空会社(LCC)を中心にアジアからの訪日客の増加で空港施設の使用料や商業施設の売り上げが伸びた。
関空(単体)の航空機発着回数は、開港以来初めて週1200便を超えた。中国を中心に増便が相次ぎ、国内線との合計で前期比17%増の16万9000回と過去最高を記録した。このうち国際線は25%増の11万9000回となった。
外国人旅客数は57%増の1100万人で、国際線全体の利用客の64%を占めた。国内線との合計の旅客数は20%増の2405万人。2000年度の2058万人を上回り過去最高となった。
一方、成田国際空港会社の16年3月期の業績も好調だった。営業収益は前期比7%増の2184億円、営業利益は12%増の433億円。航空機発着回数は3%増の23万5000回と4期連続で記録を更新した。航空旅客数は国際線(3106万人)と国内線の合計で7%増の3794万人。2期ぶりに最高となった。
“爆買い”効果で免税店の売り上げが伸びる
関空はなぜ成田の営業利益を上回ったのか。
関空は格安航空会社のハブ(拠点)となる戦略で中国や韓国からの旅客の獲得に成功。昨春に80億円を投じて免税店コーナーの床面積を1.4倍の6500平方メートルに拡充した効果がてきめんだった。
16年3月期の免税店など商業施設の営業収益は661億円。前の期に比べて48%、214億円の増収となった。営業利益は45%増の213億円。連結営業利益(592億円)の36%を占める。営業増益(150億円)の44%を商業施設で叩き出したことになる。“爆買い”効果は絶大だった。
着陸料の割り引きがLCCの誘致に寄与した。割引制度は13年春から始めた。新規就航や増便した路線で初年度80%、2年目50%、3年目30%を割り引くなど、複数の割引制度を導入した。初年度の国際線着陸料は、ボーイング777-200型機で11万円と成田(21万円)の半分。LCCの就航を後押しした。中国や韓国、台湾、香港の人たちが使う空港として、関空は成田を上回り、全国一となった。
成田も黙ってはいない。国際線や国内線で成田空港と結ばれていない都市に新たに就航した場合、航空会社が負担する着陸料を最大で1年間無料とする制度を今年4月に導入した。中国や韓国、アジアのハブ空港をめぐる競争は激しさを増している。