かつて「国民休暇村」の名前で知られた「休暇村」が、若い世代の利用者を開拓するために新たな試みを始めた。施設利用者から満足度をシビアに採点してもらい、満足できない部分があった場合にはその分の返金を保証するという思い切った試みだ。
休暇村は1961年に発足し、主に全国の国立・国定公園のエリア内で展開してきた。当初は数カ所からのスタートだったが、現在は北海道から九州まで37カ所でリゾートホテルやキャンプ場を経営している。国の監督を受ける立場が発足以来長く続いたが、2004年に完全民営化した。
発足から55年間、5700万人の利用実績があるが、利用者の年代の中心が60歳以上の高齢者に偏っていた。このため若い世代の利用を促し、休暇村の認知度を上げようというのが今回の試みだ。
「ときめき保証プラン」と名付けられたこの企画は、休暇村・紀州加太(和歌山市)でこの7月1日から9月末までの期間限定で試験的に行われているもので、来館者は1日1組2人限定。施設は自慢のサービスを存分に提供する。
到着時に10個の石(ときめきストーン)を渡され、会計時にサービスに「宿泊」「料理」「温泉」など5つのカテゴリーに対して来館者が満足度に応じて投票する。不満な場合には投票しなくてもよく、手元に残った石1つにつき10パーセントの割引を行う。仮に石が2つ残ったら20%の割引というわけだ。客がサービスに不満な場合は返金を迫られることになり、休暇村にとっては覚悟も試される企画である。
休暇村協会の中島都志明理事長はこう話す。
「ご利用のお客様の多くが50代、60代でしたので、それを若い世代に広めてゆきたいと考えています。十分なサービスをご提供できるように心を配りたい」
休暇村協会では、紀州加太での実施状況をみながら利用期間の延長や対象施設の拡大なども検討する。
サービスの多様化・多角化にも取り組み
休暇村は設立の経緯や歩みなどから、「公共の宿」のイメージが抜けにくい。そのため、完全民営化している今でも、自治体が中心になって経営している国民宿舎と同じものと考えている人も多い。一方で、民間のホテルや旅館などとの競争は激しくなっている。このため、イメージの刷新や競争力の強化が求められていた。