7月26日、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者らが刺され、19人が死亡、26人が負傷するという凄惨な事件が発生した。犯人の植松聖容疑者は同施設の元職員で、在職中にも「障害者は死んだほうがいい」と発言するなど、障害者に対する差別的な思想の持ち主だった。
本事件の翌27日、厚生労働省は2015年度の「使用者による障害者虐待の状況等」を発表、障害者に対する虐待が増大していることが明らかになっている。
それによると、障害者に対する虐待で通報・届出のあったのは1325事業所(企業)で、前年度から34.5%も増加している。また、虐待の対象となった障害者数も1926人と前年度より50.9%も増加した。
このうち、障害者の使用者(雇い主など)により実際に虐待が認められた事業所は507で同69.6%の増加、虐待を受けた障害者数は前年度の倍以上の970人で同100.8%の増加となっている。虐待の多さとあまりの増加件数には驚くばかりだ。
実際に虐待が認められた障害者の状況は、以下のようになっている。
【使用者による障害者虐待の状況等】
※以下、障害種別、人数(前年度比)、前年度人数
合計、970人(100.8%増)、483人
身体障害、209人(211.9%増)、67人
知的障害、553人(52.8%増)、362人
精神障害、202人(288.5%増)、52人
発達障害、27人(145.5%増)、11人
その他、1人(-%)、0人
延べ合計、992人、492人
※以下、虐待種別、人数(前年度比)、前年度人数
合計、970人(100.8%増)、483人
身体的虐待、73人(217.4%増)、23人
性的虐待、10人(25.0%増)、8人
心理的虐待、75人(92.3%増)、39人
放置等による虐待、15人(25.0%増)、12人
経済的虐待、855人(104.1%増)、419人
延べ合計、1028人、501人
※以下、虐待種別、人数、割合、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、その他
身体的虐待、73人(7.1%)、16、48、12、5、0
性的虐待、10人(1.0%)、1、6、4、1、0
心理的虐待、75人(7.3%)、30、28、19、5、0
放置等、15人(1.5%) 、7、8、1、1、0
経済的虐待、855人(83.2%)、172、493、179、21、1
延べ合計、1,028人(100%)