空前の「城めぐり」ブームが続いている。平成の大修理を終えた姫路城は、2015年度の入城者数が過去最高の286万7000人に達し日本一に輝いた。以下、大阪城(233万7000人)、首里城(187万5000人)、二条城(177万6000人)、熊本城(177万5000人)、と続く。上位10城の入城者数の合計は1500万人を超す(有料の城のみを集計)。ちなみに、入場無料の金沢城(金沢城公園)は226万人となっている。
8月下旬、世界最大の旅行サイト「トリップアドバイザー」の日本法人が、過去1年間にトリップアドバイザーのサイトに投稿された口コミを基に「行ってよかった!日本の城ランキング2016」を発表した。
過去3回のランキングでは熊本城が首位の座を守り続けてきたが、今回は過去最高の入城者数を記録した姫路城が昨年の3位からトップに躍り出た。ベスト10は以下の通り。
「行ってよかった! 日本の城ランキング2016」 ※( )は昨年の順位。
1.姫路城、兵庫県姫路市(3)
2.松本城、長野県松本市(2)
3.熊本城、熊本県熊本市(1)
4.犬山城、愛知県犬山市(6)
5.二条城、京都府京都市(7)
6.松山城、愛媛県松山市(4)
7.備中松山城、岡山県高梁市(5)
8.松江城、島根県松江市(10)
9.彦根城、滋賀県彦根市(9)
10.中城城跡、沖縄県北中城村(14)
大地震で被災した熊本城には復興を願う声
上位の城には、どのような魅力があるのだろうか。
1位の姫路城は、世界遺産・国宝として知られる天下の名城。「白鷺城」の愛称で親しまれている。4月8日付当サイト記事『姫路城、なぜ人気沸騰&客殺到で3時間待ち?5年に及ぶ大修理の費用、たった1年で回収?』でも触れたが、築城から400年以上たつにもかかわらず一度も戦火に見舞われず、当時の姿が現存する“本物”としての絶対的価値がある。五重7階の連立天守は、池田輝政が城主だった慶長年間の1609年に完成した。
大修理以降はスマートフォンアプリを利用した臨場感あふれる映像サービス、外国人観光客向けのボランティアガイドなど、ソフト面の充実も図ってきた。ハードとソフトの魅力が内外の観光客の心をとらえたといっていいかもしれない。
2位の松本城は、姫路城と対照的に「烏城」と呼ばれる黒の天守が売りになっている。そもそもは、戦国時代の永正年間につくられた深志城がはじまり。豊臣秀吉が天下を治めた後、城下に入った石川数正が城の整備を進めた。天守の完成は文禄2~3年(1593~94)とみられている。松本城が黒いのは、黒で統一された秀吉の大阪城にならったもので、秀吉への忠誠の証と考えられている。この城も一度も戦火にまみれたことがない。黒い城と背後の北アルプスの山並みとのコントラストがすばらしい。