国政に介入した疑いで逮捕された崔順実(チェ・スンシル)容疑者(60)。韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領を陰で操る“韓国の女ラスプーチン”として報道されているが、財界にも大きな影響を及ぼしていた。
大統領府の安鍾範(アン・ジョンボム)・前政策調整首席秘書官(57)と共謀し、全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に当たる)主導で韓国ロッテグループやSK、ポスコなど62社から2つの財団に計約774億ウォン(約70億円)の寄付を強要した疑いをかけられている。アン容疑者も11月6日に職権乱用の容疑で逮捕された。
問題となっているのは、崔容疑者が裏で設立と運営を主導していた文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」。なかでも韓国ロッテグループはミル財団にはロッテ免税店を通して28億ウォン、Kスポーツ財団にロッテケミカルを通して17億ウォン、計45億ウォンの出資金を出し、さらにKスポーツ財団には70億ウォンを提供。蘇鎮世(ソ・ジンセ)ロッテグループ政策本部対外協力団長(社長)とイ・ソクファン対外協力団CSRチーム長(常務)が10月30日、参考人として呼ばれた。両財団の捜査が本格化したなかで、財団に資金を出した大企業の役員が検察に呼ばれたのは初めてのことだという。ミル財団は昨年10月、Kスポーツ財団は今年1月に設立されている。
金額打診協議
しかし、韓国ロッテグループへの追求はそれだけに収まらなかった。韓国のハンギョレ新聞はKスポーツ財団の内部文書(3月28日作成)を入手した。この資料によると、「五大拠点体躯人材育成事業」に関連して「ロッテとスポンサー状況及び金額打診協議」があったことを記され、韓国ロッテが新施設の建設費の半分に当たる約35億ウォンの出資をする意志があったことがわかった。
Kスポーツ財団の関係者2人が、ソウル中区にある韓国ロッテグループ本社の24階に訪れたのは3月17日。ここで2人はロッテグループのソ・ジンセ社長とイ・ソクファン常務に会い、Kスポーツ財団の事業について説明。韓国ロッテは積極的な支援の意思を明らかにしたという。日本のロッテホールディングス(HD)は寄付目的について、「スポーツ振興のための社会貢献活動と聞いております」と説明している。