百貨店が大量閉鎖の時代に突入した。三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、傘下の三越伊勢丹が運営する三越千葉店と三越多摩センター店を2017年3月20日に閉店する。
三越千葉店の前身は、1930年設立の奈良屋。かつては千葉県トップの百貨店だった。三越に隣接するそごう千葉店に対抗するため、奈良屋と三越が共同出資してニューナラヤを開業し、84年に千葉三越に看板を掛け替え、03年に三越伊勢丹直営の三越千葉店となった。
93年に、そごう千葉店はJR千葉駅前に移転し、「日本最大級」を誇る巨艦店を開業。そごう千葉店に客を奪われた三越千葉店は、業績不振が続く。ピーク時の91年に507億円あった売上高は、16年3月期は126億円と約4分の1にまで落ち込んだ。三越伊勢丹の直営百貨店9店のなかで、千葉店が最大の営業赤字を出している。
三越千葉店の売り場面積は2.4万平米で、そごう千葉店6.9万平米の約3分の1。売上高はそごう千葉店(680億円)の2割にも満たない。そごう千葉店に完敗して、三越千葉店は閉店に追い込まれた。
一方、三越多摩センター店は2000年に多摩そごう跡に開業した商業施設・ココリア多摩センターにテナントとして出店した。ピーク時の07年には70億円弱の売り上げがあったが、16年3月期は63億円と低迷していた。
三越伊勢丹、次の閉店候補
三越伊勢丹HDの16年4~6月期の連結売上高は前年同期比5%減の2946億円、営業利益は48%減の60億円だった。衣料品の販売不振やインバウンド需要が剥落したのが響いた。
営業利益がほぼ半減したのは、海外ブランド品や腕時計、宝飾品など高級品を大量に買う訪日観光客の爆買いが失速したことが大きかった。中国政府は今年4月から海外で購入した高級腕時計などの関税を大幅に引き上げたため爆買いは終息した。代わって、化粧品や大衆薬など手頃な値段の日用品を買うようになった。
三越伊勢丹の月次資料によると、16年4~8月累計の売上高は、伊勢丹新宿本店が前年同期比5.2%減、三越日本橋本店が4.0%減、三越銀座店が9.8%減。都心の旗艦3店がマイナス成長となった。爆買いの恩恵をもっとも受け、毎月の売り上げが2ケタの伸びを記録してきた三越銀座店は勢いを失った。
当初から、インバウンド消費が望めない郊外店も軒並み売り上げを落とした。伊勢丹立川店が5.9%減、伊勢丹松戸店が6.2%減、伊勢丹浦和店が3.4%減、伊勢丹相模原店が11.2%減、伊勢丹府中店が16.8%減、三越千葉店が7.0%減である。