今年も受験シーズンが近づいてきた。大学生や受験生のお子さんがいる読者もいらっしゃることだろう。ご自身が学生生活を過ごした時代に比べ、学費が驚くほど跳ね上がっている事実に慄然とされているのではないだろうか。
1975年当時、国立大学の授業料は年間3万6000円で私立大学は平均約18万円だった。その差は5倍である。当時の大卒初任給は8万9300円(賃金構造基本統計調査)。国立授業料は初任給の約40%だったのである。卒業後、会社員として2カ月働けば4年間の授業料を回収できたことになる。
現在はどうなっているのか。最新データがある2014年の国立大授業料は53万5800円で、私立大は平均86万4384円。国立大と私立大の格差は1.61倍にまで縮小している。また、大卒初任給は20万400円。国立大の授業料は初任給の2.62倍になっている。4年間の授業料は11カ月分の給料に相当するわけだ。
国立大の授業料は、約40年間で15倍近くに跳ね上がった。私立は4.8倍である。数十年前は、「学費が安いから国立大を目指す」という受験生が多かった。そんな時代からすると、国立大の格安感はなくなってしまった。76年に国立大学の授業料の大幅見直しがあり、3万6000円から9万6000円へと一気に2.7倍に引き上げられ、その後も物価上昇に伴って上昇してきた。大学に入学することが特別なことではなくなり、政府は高等教育にも「受益者負担」の原則を当てはめたのである。
大卒の初任給は40年間で2.24倍しか上がっていないのに、国立大の授業料は15倍に急騰した。学費負担が両親のみならず学生にも重くのし掛かるのは当然である。
自宅外の学生への仕送り額は年平均124万円
4年間の学生生活を送るには、授業料以外にも住居費、食費、光熱費、教養費、部活(サークル活動)費など、さまざまなお金が必要になる。大学入学から卒業までにかかるコストはどのくらいなのか。日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」(15年度)によると、入学から卒業までに必要な「入学費用」(受験費用、学校納付金など)と「在学費用」(授業料、施設維持費、通学定期代など)を合計した金額は667万円。