ソフトバンクグループの孫正義社長は、2017年も株式市場のスーパースターであり続けることができるのだろうか。
16年7月18日の英半導体設計大手アーム・ホールディングスの買収発表、同年10月14日にはサウジアラビアの政府系ファンドと「10兆円ファンド」の創設と、相次いで大型プロジェクトをぶち上げた。
また同年12月6日には時の人、ドナルド・トランプ次期米大統領と会談、同年12月16日には来日したロシアのウラジーミル・プーチン大統領との立ち話と、話題をさらってきた。
孫氏とトランプ氏との会談をきっかけに、ソフトバンク株は「トランプ銘柄」と位置付けられるようになった。米国経済の拡大イコールソフトバンクの業績が伸びるという、実に単純明快な発想を株式市場はしている。
この結果、ソフトバンクグループ株は16年12月14日、前日比235円(3.0%)高の8007円へと上昇し、14年12月1日以来、ほぼ2年ぶりに8000円台の大台を回復。翌15日にはさらに上昇して、8068円の年初来高値をつけた。
この時点の時価総額は、8兆8801億円。東京証券取引所第1部市場の時価総額のランキングでトヨタ自動車、NTTドコモ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、NTTに次いで第5位に浮上した。11月末時点では、7兆3876億円で7位だったが、約2週間で1兆4925億円増加したことになる。
米IT企業に5兆7000億円投資、5万人の雇用を創出
孫氏は16年12月6日、トランプ氏とニューヨークのトランプ・タワーで45分会談した。総額500億ドル(約5兆7000億円)を米国でIT(情報技術)分野を中心とした新興企業に投資し、5万人の雇用を生み出すと約束した。
会談後、トランプ氏は孫氏とともにトランプ・タワーのロビーに現れ、孫氏を「業界で最もすばらしい男の一人だ」と称えた。両氏が顔を合わせるのは初めてで、会談は両氏の共通の友人を介して実現したという。
「ロビーで報道陣の取材に応じた孫社長は、世界規模のIT投資を目的に10月に設立を発表した10兆円規模のファンドから、今回の資金を出すという。さらに、トランプ氏の経営者としての実行力に期待を示した上で『規制が緩和され、米国がもう一度ビジネスをする国として、いろいろなチャンスが出てくるだろう』と話した」と、12月7日付時事通信は伝えた。
13年に約1兆8000億円を投じ、当時米携帯電話3位のスプリントを買収した。4位のTモバイルUSと合併して、AT&T、ベライゾンに対抗する第三の勢力をつくる構想だったが、米連邦通信委員会(FCC)が認可せず断念した。