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小林敬幸「ビジネスのホント」

渋谷の奇跡、一見客にも「優しい」のんべえ横丁が楽しすぎる!究極の歩き方ガイド

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
渋谷の奇跡、一見客にも「優しい」のんべえ横丁が楽しすぎる!究極の歩き方ガイドの画像1渋谷のんべい横丁

 東京・渋谷駅のすぐ横に間口一間(1.8m)ほどの小さな居酒屋・バーが30数軒並ぶ、昭和の香り漂う居酒屋横丁がある。渋谷のんべい横丁だ。焼き鳥屋、おでん屋はもちろん、洋酒中心のモダンなバーやビストロもあり、どの店もキャラのたった個性的な店ばかりだ。外国人観光客も急増しており、客の3~4割を占めるという(常連客がボランティアでつくったホームページはこちら

 昔は、なじみ客専門で一見さんは入りにくかったが、今はひとりで初めてでも気楽に入ることができる。私も通い始めてまだ数年だが、一晩で3~4軒と回りすでに20軒くらい入ってみた。店で初めて会った他のお客さんとも、自然に話が弾んで楽しい。

のんべい横丁の魅力

渋谷の奇跡、一見客にも「優しい」のんべえ横丁が楽しすぎる!究極の歩き方ガイドの画像2『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』(小林敬幸/KADOKAWA/角川書店

・居心地の良いこじんまり感

 横丁全体でも、小学校の教室2つ分くらいだ。昭和の雰囲気がある居酒屋横丁として有名な新宿西口の思い出横丁、吉祥寺のハーモニカ横丁などと比べても、ずいぶん小さい。店も、せいぜい6~8人くらいの客しか座れない狭さだ。
 
 このこじんまり感がなかなかいい。横丁の真ん中の通路も、人が1列ずつでなんとか行き違える程度の狭い幅で、人があふれることもなく、ギラギラしたネオンも照り輝いていない。梅雨時などに、雨が暗い横丁をしとしと叩く音がしている中を歩いていると、いとおしい風情すらある。

・個性的

 どれもとても個性的な店ばかりだ。タレを60年引き継いだ焼き鳥屋さんもあれば、ビストロもあるし、アメリカ育ちの若いマスターが、外国人の常連客にビールやカクテルを出している店もある。観客数人用の映画上映をしているスペースもある。かつては、有名な経営者や芸能人の常連客を平気で叱り飛ばすママもいたそうだ。

・仲の良い店と店

 店同士の仲がよく、1時間くらい飲んでいると、一度は横丁の他の店の人がのぞいてきて一言二言マスターと話をしていく。隣の店の人が「ありがとうね」と言いながら、昨日借りたお皿を返しにきたりする。

 私が通い始めた頃、店のマスターに「失礼ですが、この横丁ではほかにどこがお勧めですか?」と聞くと、「ウチの右隣と左隣、いいよ。ああ、向かいもいいねえ。どこもおもしろいから、色々行ってごらんよ」と。まあ、なんと鷹揚な。そのマスターによると、これだけ値段も料理も料金制も違っていて、中心になる強い組織もないのに、下手に競うわけでもなくお店同士が仲良くやっているのは、珍しいんじゃないかなあと。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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