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江間正和「飲食業界を“数字と現場”で科学する」

共同経営はなぜ失敗する?見えなかった相手の悪い部分への不満爆発、仕事量に偏り…

文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表
共同経営はなぜ失敗する?見えなかった相手の悪い部分への不満爆発、仕事量に偏り…の画像1「Thinkstock」より

 私は1999年から飲食交流会というものを主催していますが、この会には飲食店開業希望者も多く参加してきます。また、14年経営していた東京・新宿のダイニングバーのカウンターには、「脱サラして商売したいんだよね~」という方々が多くいました。そして20年近く続けている本業の飲食コンサルティングでは多くの開業希望者と接し、そのなかには「友達と共同経営します」と開業する方々もいました。

 では、その人たちはどうなったでしょうか?

 もちろん、答えは1つではありませんが、結果的には失敗となったケースや、早い時期に片方が離れていったケースが多いです。なぜでしょうか? 

 これを実例から考えてみると、主に3つの理由が挙げられます。

仕事内容の違い

 1つ目は、「仕事内容(労力)の違い」です。共同経営だからといって、なんでも半々ということはなかなかありません。お金以外にも仕事内容(労力)や責任(リスク)というものがあります。飲食店でいえば「お金を出す人と現場を仕切る人」「ホール担当と厨房担当」など、2人が同じ仕事をするわけではありません。たとえば前者では、一方がお金を出さないでただ現場を仕切る人の場合、最初に取り決めを明確にしておかないと、共同経営といえるかは疑問が残るので、要注意です。

 共同経営とは、自分に足りない部分を補い合うためのものなので、理屈的には良いということになりますが、現実的に労力が重いほうが相手に対して疑問を持ち始めるケースが多くなります。共同経営でなくても、飲食店ではホールと厨房の確執が発生しがちです。お客さんの身近にいるホールが厨房にいろいろリクエストを伝えすぎると、厨房がキレたりすることはよくあります。

責任の違い

 2つ目は、「責任(リスク)の違い」です。一方が店舗の賃貸借契約の名義人であったり、事業資金を多く出していたり、借入していたり、税務署等関係役所申請の代表記載者だったりすると、責任を多く負うほうがリスクも多く負いますので、共同経営の相手に対してもシビアな考え方になったりします。

価値観の違い

 3つ目は、「価値観の違い」です。共同経営を始める前、多くの時間を一緒に過ごしてお互いの価値観をある程度理解してから始める場合ですら、商売というシビアな世界においては開業後、価値観の相違が生まれますし、新たな相手の性格に気づき始めます。この相違を認め、お互いにある程度許し合いながら前に進めることができればいいのですが、なかなかこれが難しいものです。経営がうまくいっているときは良いのですが、ちょっとうまくいかないとき、通常なら相手の問題点が気になります。

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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