河合楽器製作所は2月9日、香港の楽器生産販売会社、パーソンズ・ミュージック・コーポレーション(PMC)と資本業務提携を結ぶと発表した。PMCが河合楽器の全株式の9.94%にあたる89万6600株を取得し筆頭株主となる。
PMCは音楽企業グループで、中国本土と香港で楽器の生産販売や音楽に携わる人材を育成する39のグループ会社と92店の直営店を抱える。1993年に中国で河合楽器のピアノの販売を始めて以来、中国向けのKAWAIピアノの委託生産、共同出資による電子楽器生産会社の設立など、両社は事業パートナーとして関係を深めてきた。河合楽器は資本提携を機に、中国での楽器販売、音楽教室、調律サービスの三位一体の事業体制を強化する。
河合楽器は2014年3月、全音楽譜出版社を買収した。同社はクラシック音楽を中心とした楽譜出版では強いブランド力を持つ。鍵盤ハーモニカや木琴、リコーダーなどの楽器も製造し、年商は44億円。河合楽器の販路は直営店に限られていたが、全音楽譜出版社の販路を使いピアノの取扱店を増やす狙いがあった。
15年7月には、学研ホールディングス(HD)と株式を持ち合う業務資本提携を結んだ。河合楽器は学研HD株の2.3%を保有する第8位の株主、学研HDは河合楽器株の3.0%を持つ第6位の株主だ。
河合楽器は直営で4400の音楽教室を運営している。生徒数は91年末の26万人をピークに減少を続け15年末には10万人にまで落ち込んだ。学研HDと組んで、21年3月期までにピアノと国語・算数をセットで学べる子供向けの「コラボ教室」を500教室に増やす計画だ。
また15年11月には、音響機器メーカーのオンキヨーと資本業務提携した。オンキヨーは河合楽器株の4.9%を保有する第4位の株主、河合楽器はオンキヨー株の9.9%を持つ第4位の株主だ。技術協力を進め、高品質のハイレゾリューションオーディオや無線通信に対応する次世代の電子ピアノの早期実用化を目指す。