国内の楽器市場は成熟、海外に活路を求める
楽器市場は成熟した。一流ピアニストがコンクールで使用するような高級アコースティックピアノの国内市場は、80年前後の30万台をピークに今や2万台を切るまでに縮小した。国内は少子化が進み音楽人口が年々減っているため、楽器販売の成長余地は乏しい。
そんななか、河合楽器がどんな手を打つのかが注目された。河合楽器は昨年、中期経営計画「Resonate 2018」を発表した。19年3月期の売上高740億円、営業利益37億円、営業利益率5.0%を目標に掲げ、楽器及び音楽教育事業の営業利益率の改善を目指すとした。
中計の初年度にあたる17年3月期の連結決算は、減収減益の見込みだ。売上高は前期比7%減の645億円、営業利益も10%減の24億円、当期純利益は22%減の14億円と厳しい決算になる見通しだ。
主力の楽器の売り上げは前期比8%減の354億円、営業利益は47%減の5億円としており、振るわない。世界2位のピアノや電子ピアノ、電子オルガンの鍵盤楽器の販売額は274億円。そのうち国内は59億円、海外は215億円と、海外が主力だ。
河合楽器はヤマハと比べて海外展開で出遅れている。そのため、PMCと組むことで中国市場の開拓に取り組む。とはいえ、中計に掲げた19年3月期の売上高740億円、営業利益37億円のハードルはかなり高い。
河合楽器は今年、創立90周年を迎える。日本楽器製造(現ヤマハ)に勤務していた河合小市氏が独立し、1927年に河合楽器研究所として設立したことに始まる。55年に娘婿の河合滋氏が社長に就き、89年に河合弘隆氏が後を継いだ。
弘隆氏は慶應義塾大学法学部卒で、会長兼社長兼営業統括本部長として君臨する。30年近い長期政権のため、トップ交代の観測が絶えない。15年6月、娘婿の河合健太郎氏が取締役に昇格し、現在は常務取締役執行役員で楽器製造本部長兼ピアノ事業部長を務めている。同氏が後継者の有力候補とみられている。
(文=編集部)