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「不思議な県」滋賀…観光資源豊富でもあえてPR控え目、京都&大阪にあえて食われる?

文=小川裕夫/フリーランスライター
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「不思議な県」滋賀…観光資源豊富でもあえてPR控え目、京都&大阪にあえて食われる?の画像1都久夫須麻神社から望む琵琶湖(「Wikipedia」より/663highland)

 安倍晋三首相が観光立国を宣言するなど、今般、観光業は成長産業として注目されている。訪日外国人観光客の増加といった追い風もあるが、観光業に依存する背景は、衰退する地方の産業維持といった趣が強い。

 観光業と一口にいっても、それらに関連する産業は多く、観光が盛んになればなるほど経済へも大きな影響を及ぼす。地方が観光業に活路を見いだそうとするのは、発展を続ける東京に対して、地方経済は衰退の一途をたどっているからだ。地方都市が経済的に疲弊しているのは、なによりも人口減少という構造的な問題が一番大きい。ところが、出生率は依然として低空飛行を続けており、残念ながら劇的に改善する兆しは見えない。

 疲弊した地方経済を打破するためには、他所から人を呼び、消費をしてもらうしかない。今般、訪日外国人観光客の増加が話題になっているが、人口の少ない地方都市では受け入れ態勢が整えられていない。それでも、観光振興は欠かせない。

 観光振興に力を入れる自治体は増えてきているが、そうした自治体が頼りにしているのがNHK大河ドラマだ。大河ドラマは1年かけて放送されるため、観光PR効果は高く、経済への影響力も高い。今年放送されている『おんな城主 直虎』は、静岡県西部地方が舞台。中心都市の浜松市は、あの手この手の観光PRをおこなっている。

 そして、もうひとつ大河ドラマをフックにして、観光に力を入れようとしているのが滋賀県だ。滋賀県彦根市は、関ケ原合戦後に勲功をあげた井伊家が領地を与えられた地。歴代の井伊家当主は彦根藩主を務め、戦後も井伊家は彦根市長を歴任してきた。井伊家と滋賀県は、とても縁が深い土地なのだ。

 そうしたゆえんから滋賀県は、『直虎』にあやかって観光客誘致をしかけている。ところが、少々強引な点もあってか、滋賀県の大河に乗っかるPR戦略は奮っていない。滋賀県の観光関係者は言う。

「『直虎』の主人公・井伊直虎は確かに井伊家の人物ですが、井伊家が滋賀に移ってきたのは関ケ原以後です。そのとき、すでに直虎は存命していません。大河ドラマの影響力が大きいことは承知していますが、さすがに直虎ブームに乗っかって滋賀県をPRするのは無理がある」

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