フジテレビの専務取締役・遠藤龍之介氏(60歳)が次期社長に内定したと、3月発売の「週刊現代」(講談社)で報道された。現在の亀山千広社長は低迷する視聴率の回復を期待されて2013年6月に就任したが、回復どころかフジの年間視聴率は下がり続けている。
業績も悪化している。フジテレビは15年上期の決算が97年の上場以来、初めて営業赤字に転落。16年4~12月の放送収入も前年同期から減少している。そういう意味では、亀山社長が退任しても、大きな驚きはない。
では、遠藤氏とはどんな人物なのか。遠藤氏は、あの『沈黙』を書いた芥川賞作家・遠藤周作のひとり息子で、慶應幼稚舎から付属中高に進み、慶應義塾大学文学部仏文学科を卒業している。1981年4月入社で、現在はフジ専務取締役(総括・放送文化推進・総務・人事・総合開発・広報担当)、およびフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)取締役を務めている。フジHDは持株会社であり、フジテレビや産経新聞社の親会社だ。フジテレビ関係者はこう話す。
「遠藤さんの入社は親父さんのコネだといわれることもありますが、本当のところはわかりません。ただ、親父さんの人脈を使ってのマスコミ対策を期待されていたようです。実際、大手出版社系週刊誌に対する交渉、つまりスキャンダルネタ潰しが評価されたのではないかといわれています」
実際、遠藤氏はディレクターや編成部長を務めていた時代もあるが、03年6月に広報局広報部長になると、06年に広報局長、08年に取締役広報室担当に昇進するなど、広報畑としては異例のスピード出世を続けた。ある夕刊紙記者は「フジはスキャンダルのデパートだから、遠藤氏は活躍できる機会も多かったのでは」と笑う。
「昨年12月にはフジの記者が暴力団関係者に車購入で名義貸ししたのではないかと報道されましたが、ほかにも不祥事はたくさんあります。遠藤氏は、最初は広報だけの担当でしたが、10年以降は総務・人事なども担当するようになり、権限がどんどん大きくなりました。そして、注目すべきは、15年に『特区事業室』の担当に就いたことです」
カジノとフジ
フジテレビの特区事業室とは“お台場カジノ構想”のことだ。カジノをめぐっては、昨年末に整備推進法が成立し、1年以内にカジノの運営方法などを盛りこんだ実施法案が国会に提出されることになっている。これまでカジノをお台場に誘致しようと熱心に働きかけてきたのがフジサンケイグループである。前出のフジ関係者はこう話す。