ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に、4月21日から新エリア「ミニオン・パーク」がオープンした。100億円を投資した新空間は、大好評となっている。同園は、今年1月から期間限定で開催されている毎年恒例のイベント「ユニバーサル・クールジャパン2017」も成功を収めており、勢いはさらに増している。その結果は数字にも表れており、2016年度の来場者数は前年度より5%増の約1460万人に上り、3年連続で過去最高を記録した。
一方、テーマパークの“絶対王者”である東京ディズニーリゾート(TDR)は、東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)の合計来場者数が18年3月期で、前期比2%減の2950万人となる見通しであることを発表した。微減とはいえ、3000万人割れは5年ぶりで、減少は2年連続だ。
TDRになぜ凋落の兆しが生まれてしまったのか、ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役でマーケティングアドバイザーの山本康博氏に分析してもらった。
「美女と野獣」はコンテンツとして不十分?
「TDRができた1983年と、今年生まれるデジタルネイティブ世代が青年になる2035年の人口動態の数を比較してみると、20歳以下の若者たちが圧倒的に少なくなるので、テーマパークビジネスは今後苦しいコンテンツになることが予想されます。そのため、人口減少が向かい風になるのはUSJも同様なのですが、USJはTDRに比べてうまく運営している印象です」
その要因は、USJ運営会社の株式会社ユー・エス・ジェイで1月までチーフマーケティングオフィサーを務めていた森岡毅氏の存在だ。
「森岡氏が『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター』で大成功した後、USJはいろいろなアニメやゲームなどとコラボレーションするようになって、コンテンツがごちゃ混ぜのカオス状態になっています。最初は疑問視していたのですが、これがうまくいって来場者を楽しませているようです。一方のTDRは、“ディズニー”という縛りがあります。もちろん、必ずしも足かせになるわけではありませんが、かつてはスペース・マウンテンやビッグサンダー・マウンテンなど、映画を舞台にしていないアトラクションを中心にして、ディズニーの世界観をつくっていました。しかし、USJの影響を受けてなのか、近年では映画ありきの展開に舵を切っているような気がします」