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“川口駅直結”マンション、無人で廃墟化の高層物件…「クソ物件オブザイヤー」が話題

文=編集部
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「Getty images」より

 国内外を問わず、一見しただけでは理解が追い付かない“謎物件”の間取り図や外観写真などを紹介し合う「#クソ物件オブザイヤー2020」が11月16日午前、Twitter上でトレンド入りした。多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーも参加し、奇々怪々な物件の数々は注目だ。当サイトで特に大きな反応があった物件を引用しまとめた上で、不動産業界関係者に感想を聞いてみた。

触れられる“高速道路”

 まずはエジプトからのノミネート。集合住宅のベランダから建設中の高速道路が届きそうな物件だ。投稿者は次のようにツイートし、16日正午までにリツイート数は約7500件に達した。

「やあ!日本の皆さん 貴方は自宅のベランダから高速道路に手が届きますか?エジプトではできるので、ぜひ来てみてください」(原文ママ、以下同)

竹がフローリングを突き破る

 続いては、一部報道にもあった床下を突き破って竹が生えてきた事例だ。投稿者はテレビ局の取材を受けたことと合わせて、次のように投稿した。

「【竹がフローリング突き破る】

 祖父母の実家に1ヶ月ぶりに行ったらフローリング突き破って竹が生えていた。この竹事件がキッカケでTBS Nスタで全国放送デビュー、家族及び身内全員に”竹バズり“としていじられ、時の人ならぬ竹の人となりました」

緑化のしすぎて蚊が大量発生

 続いては廃墟写真集などの被写体になりそうな、一種、アートな雰囲気を醸しだした中国四川省の物件だ。投稿者によると、無計画な緑化で蚊の大量発生を招き、無人のマンションになったという。

「【リアルラピュタ】中国四川省成都に建設された高層マンション群。緑あふれるベランダが売りだったのに、蚊の大量発生によりほぼ無人の廃墟と化した悲哀の街。蚊と緑に侵蝕され、都会とは思えない静かな時間が流れる光景は、ほとんどラピュタ。」

“駅直結”の新築マンション?

 通勤や買い物に乗用車が必須な郊外の閑静な住宅街やニュータウンが流行したのは今や昔。社会全体の高齢化もあって、郊外のマイホームを手放して、駅直結かつ、中心市街地やショッピングモールに近いマンションに移住する住民も多い。当然、売り手側は各種“利便性”を強調することになるのだが、内容をよく読むと違和感を覚える物件もあるようだ。

「【川口駅直結】

コンコースじゃないよ、専用シャトルバスとかでもない。”うちの前のバス停から駅まで行ける”って話を駅直結と言い張る『メイツ川口元郷』。これが直結ならみんなタクシーで東京駅直結じゃろが!実際に見て、触れて、感じて欲しいから、新築竣工販売中です」

「どれも胃が痛くなりそうな物件の数々」

 ノミネートされていた物件をどう見るのか。千葉県内の不動産仲介業者社員は次のように話す。

「どれもこれも、見ていて胃が痛くなるような物件の数々ですね。エジプトの件は、同国の都市計画法がどうなっているのかよくわからないのでノーコメントで……。

 青竹は、昭和中期、後期に建てられた住宅で最近、ちらほら見る事例です。ご存知の方も多いと思いますが、竹は地下茎を張り巡らして大量に繁殖します。その成長力と幹や枝の強度は強く、合板の壁や床、断熱材やモルタルなどを貫通します。

 宅地化のために土地改良した農業用地の周辺には、里山などの雑木林が多くありました。そこを囲むように家が立ち並び、日照が悪くなる中で、竹だけが生き残り、気が付けば竹を中心とした雑木林に植生が変わる例が多いようです。竹の地下茎は、敷地境界関係なく、各物件に伸びてゆきます。その結果、運が悪いとこうした事例につながります。今は、こうした古い戸建てが中古市場に出はじめていますが、竹の影響がないかどうかも見て買ったほうが良いと思います。

 逆に、中国の緑化マンションのようにデザイン性を重視した物件も、扱いには慎重にならざるを得ません。よくあるのが、一般的にイメージの良い『ツタが絡んだ館』のような物件です。まず落ち葉の処理が非常に面倒くさく、虫が大量に発生します。隣接する物件があったりすれば、土地境界に溜まった落ち葉をめぐりクレームにもつながります。これは庭付き物件の個人宅の樹木でも同じことがいえますが、植物とはいえ生き物なので、人間の思ったようにはなりません。

 “駅直結”マンションは、業界あるあるです。不動産価格の高騰は、新型コロナウイルス感染症の蔓延を抜いても、2020年の東京オリンピックまでと言われていました。多くの事業者がそれまでにより多くのマンションを建築し、売り抜けようとしていました。本当に駅近だったり、多少距離はあっても無料の送迎バスがあったりすれば、うまく売れるでしょうが、今回、紹介されているような物件は厳しいですね。もう『閑静な住宅街』を煽り文句にして売れるような時代ではないので、なんとか利便性をアピールしようとした結果、こういう無理なPRになったのではないでしょうか。実際にこれを売れと言われたら正直、頭を抱えますね。内装が良く、部屋が広くても、なかなか売るのは難しいと思います」

 不可思議な物件の存在は、世間話のネタの宝庫だ。同時に、自身がマンションを購入したり、一軒家を立てたりする際のヒントになるかもしれない。

(文=編集部)

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