安倍晋三首相と東京都の小池百合子知事、小泉純一郎元首相が4月18日夜、東京・赤坂の料亭で同席するひと幕があった。
テレビと新聞は、これを大きく報じたが、経済界が注目したのは、安倍首相と会食した財界人の名前だ。4月18日付時事通信「首相動静」には、こうある。
「午後8時4分、東京・赤阪の日本料理店『津やま』着。似鳥昭雄ニトリホールディングス会長、長内順一元衆院議員と会食。午後9時45分、同所発。午後10時1分、私邸着」
似鳥氏が時の首相と会食できるほどの大物財界人になったことが、似鳥氏を知る人々に驚きを与えた。同席した長内氏は、北海道選出の衆議院議員(新進党)を辞めた後、北海学園大の同窓という縁もあって、ニトリホールディングス(HD)の顧問を長く務め、中央政界や地元財界とのパイプ役を果たしてきたとされる。昨年から北海道の若手経営者を対象にした「経営未来塾」を開校した。
首相動静によると、2013年11月4日と14年4月6日、神奈川県茅ヶ崎市のゴルフ場「スリーハンドレッドクラブ」で、安倍首相は似鳥氏とゴルフをしている。
似鳥氏は安倍政権への大口献金者である。16年6月21日付アジアプレス・ネットワークは、「ニトリグループが、この4年間に、安倍首相を筆頭に安倍政権の閣僚6人に政治献金をしている。(中略)その総額は2170万円にのぼった。安倍総理は2011年から毎年献金を受け取っており、額が最も多かったのは2014年で、480万円に上る」と報じた。
似鳥氏は、お付き合いの範囲を超える金額を、多数の政治家に献金してきた。そして、今回の安倍首相との会食だ。安倍首相と親密な財界人の仲間入りをした似鳥氏に、どんな狙いがあるのか。さまざまな憶測を呼んでいる。
30期連続の増収増益
ニトリHDの決算は好調だ。17年2月期の連結決算は売上高が前期比12%増の5129億円、営業利益は17%増の857億円、純利益は28%増の599億円。30期連続の増収増益となった。冷感機能を持つ寝具「Nクール」や保温力を高めた寝具「Nウォーム」など、機能性商品が好調で既存店売上高は5.5%増となった。NはニトリのNである。
18年2月期の売上高は前期比11%増の5680億円、純利益は14%増の685億円を見込んでいる。年間配当は92円と、前期から10円の増配を予定。記者会見した似鳥氏は「次は40期連続の増収増益を達成したい」と述べた。