ニトリHDは、「2022年1000店」「2032年3000店」の目標を掲げる。この目標を達成するために、引き続き都心や百貨店への出店を強化する。
6月には、東京・渋谷に都心型で最大規模の「ニトリ」を開業する。シダックスの旗艦カラオケ店だった「渋谷シダックスビレッジクラブ」の跡地を借り受けて改修。地上9階建てで、延べ面積は5980平方メートルに上る。
3月15日に東武池袋本店の6階に開いた店(3800平方メートル)を超え、都心型で最大になる。16年には新宿タカシマヤタイムズスクエア(3000平方メートル)や、目黒駅前のアトレ目黒(2300平方メートル)など、都心に相次いで出店。また、都心型初出店だった「マロニエゲート銀座2」(旧プランタン銀座)の店舗を従来の1フロアから2フロアの2970平方メートルに増床した。
従来は郊外のロードサイド店が大半だったが、都心型が好調なことから、今度は渋谷の旗艦店に勝負を賭ける。大阪では経営不振のシャープ旧本社ビルを買収した。現在、解体工事中で19年夏にニトリの店舗がオープンする予定だ。
似鳥氏はイズミの社外取締役に就任
ニトリHDは、家具から異業種に羽を広げている。4月28日には、中古住宅販売のカチタスに出資すると発表した。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズから34%の株式を230億円で取得し、持ち分法適用会社にする。
カチタスは、中古住宅を買い取ってリフォームした後に再び販売する中古住宅再生会社。17年3月期の売上高は600億円規模。12年にアドバンテッジパートナーズの完全子会社になり、名証セントレックスでの上場を廃止した。ニトリの家具を据え付けたカチタスの中古住宅を売ることで販路を拡大する。中古住宅を扱えば売り上げは大きく伸びる。
似鳥氏は、スーパーマーケット大手、イズミの5月24日に開かれる株主総会で社外取締役に就く。これは流通業界で大きな話題になった。
イズミは戦後、広島の闇市から旗揚げし、中・四国と九州一円で大型ショッピングセンター「ゆめタウン」を展開してトップ企業となった。17年2月期の連結売上高は前期比5%増の7021億円、営業利益は12%増の356億円。16年4月の熊本地震で熊本県内の多くの店舗が被災したことで特別損失93億円を計上し、純利益は170億円と9%の減益となった。イズミは21年2月期に連結売上高1兆円の目標を掲げる。
イズミの山西義政会長と似鳥氏は、共に創業者。2人がタッグを組むことで流通再編に影響を及ぼす可能性があるとの見立てなのだ。
安倍首相との会食、渋谷に巨艦店を開店、住宅リフォーム事業への進出、ショッピングセンターの勝ち組企業の社外取締役に就任。今年に入ってから似鳥氏は神出鬼没の大活躍ぶりだ。
果たして、似鳥氏が次にターゲットにする業種は何か。家具の製造小売業(SPA)のノウハウを応用できるのは、アパレルだ。ニトリが大手アパレルを買収して傘下に収め、「40期連続増収増益」の切り札のひとつとする可能性は大いにある。
(文=編集部)