アローラ氏に支払った報酬は、退職金など諸費用を含むと総額348億円になる。孫氏は、グーグル時代にアローラ氏が得ていた報酬やストックオプションなどから計算したと説明した。退職金については契約に基づいて支払ったとしているが、えらく気前がいい。アローラ氏は孫氏の投資手法を「趣味的」と痛烈に批判していたが、アローラ氏への報酬の支払い方も趣味の域を出ないといえるかもしれない。アローラ氏の高笑いが聞えてくるようだ。
総会後に提出された有価証券報告書で、アローラ氏の役員報酬の内訳が明らかになった。ソフトバンクグループからの基本報酬は3300万円。米国法人ソフトバンクグループUSの基本報酬が2億4500万円、株式報酬が11億9600万円、退任費用が88億4700万円。米携帯電話会社スプリントの基本報酬が2500万円。締めて103億4600万円。
これに対して、孫氏の役員報酬はソフトバンクグループの基本報酬1億1700万円と賞与2200万円の合計1億3900万円で、アローラ氏の1割強にとどまる。
世界的な大富豪となった孫氏にとっては、役員報酬など気にかけるほどのものではないだろう。孫氏は同社の株式の21.0%を所有する筆頭株主だ。17年3月期の年間配当は前期より3円増加し、1株当たり44円。孫氏が受け取った配当金は101億7300万円にも上る。
カルロス・ゴーン氏は3年連続の10億円超え
日産自動車現会長のカルロス・ゴーン元社長兼CEOの役員報酬は10億9800万円。3年連続の10億円超で、前期より2700万円(2.5%)増えた。報酬額の開示を始めた09年以後で最高だ。社外取締役を除く8人の取締役の役員報酬は19億4800万円であり、ゴーン氏が役員報酬の56%を一人占めしている計算だ。このパターンは毎年同じである。
ゴーン氏の仏ルノーのCEOとしての16年の報酬は総額700万ユーロ(約8億7000万円)。昨年12月に系列に収めた三菱自動車の会長職も兼務しており、3社の報酬の合計額は20億円に手が届きそうだ。
ゴーン氏は資本・業務提携するルノー、三菱自動車との3社連合を強化するため、4月に日産の社長とCEOを退任。共同CEOだった西川廣氏が社長職を引き継いだ。西川氏の役員報酬は3億9600万円。前年同期は2億円だったから、ほぼ倍増したことになる。今期(18年3月期)にさらに大幅アップするかが注目点だ。