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ソフトバンク広報、PHSサービス終了への“感謝”に号泣す…「ありがとうさようなら」

文=編集部
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 2021年1月31日、“ピッチが終わった”。

 ソフトバンクのサブブランド、ワイモバイルによって日本国内で唯一展開されていた簡易型携帯電話、PHSのサービスが、この日をもって終了したのだ。

 今回のPHSの終了自体はメディアでも報じられたが、Twitter界隈では、サービス終了直前の“泣ける出来事”もちょっとしたバズりをみせた。PHSの最期に、『一杯のかけそば』のような(?)を感動の涙をもたらしたこの“ちょっとイイ話”について、ワイモバイルを運営するソフトバンクに話を聞いた。

PHSユーザーに届いた「お別れのメール」でTwitterが感動の嵐に

「1月29日に、PHSのメールアドレスのあるお客さま全員に、メールを配信しました。これが最後のPHS向けのメールとなるため、長年ご利用いただいた皆さまへ、お別れと感謝を伝えたいというのが、このメールを配信した理由でした」(ソフトバンク・PHSサービス担当氏)

 そのメールこそ、1月29日にTwitterユーザーの間で話題となったもの。東京都内在住だという50代のTwitterユーザー「けろ山」(@keloyama)氏が、「先ほど、PHSからお別れを告げるメールが届いた。あまりにも悲しすぎる」という文章と共に、PHSの画面を映した画像を添えて投稿したのだ。

 その画面には、

Subject:ありがとうさようなら(あと2日)【Y!mobile】
「あと2日でPHS開始から25年の歴史が終了いたします」
「長年のご利用に心より感謝いたします。ありがとうございました」

 という、哀切なる文章が。この投稿をきっかけにTwitter上では、「PHS、懐かしすぎるし泣ける」「ピッチなんて呼ばれてたよね、寂しくなるな」といった声が殺到。さらには、PHSにまつわる思い出話や、東日本大震災時の被災地で、携帯は全社不通になるなかPHSだけは使えた――といったエピソード等々、インフラとしてPHSが果たしてきた役割について思いを馳せる投稿も出現し、まるで往年のロックスターが亡くなってしまったかのような雰囲気に包まれたのであった。

 このようにTwitter上で盛大にバズったことに関してもソフトバンクの担当氏は――

「我々の感謝の気持ちが伝わってよかったという思いと、PHSとの別れを惜しんでくださる皆さまの気持ちが本当にありがたく、ここまでPHSのサービス提供をがんばってきてよかったなあ、としみじみと思わせていただきました」
 
 と、感激のご様子。確かに、現在40代以上の読者諸氏ならば「若い頃はピッチを使っていた」という方もおいでであろうが、30代以下、特に20代以下の若年者にとっては、「2000年前後にケータイとピッチが覇を争っていた」ことなど、遠い昔の歴史の1ページに過ぎないことであろう。

平坦ではなかったPHSの歴史…当初はケータイと覇を争うも、ジリ貧に

 そもそも日本でPHSのサービスが開始されたのは1995年の7月から。日本のプロ野球界で最年長とされる福留孝介選手(43歳、中日ドラゴンズ)のプロ入りが1998年と考えれば、どれだけの幾星霜、PHSが日本人に親しまれ続けたのかが多少はご理解いただけるだろうか。

 とはいえ、PHSにとってこの四半世紀の道のりは、決して平坦なものではなかった。

 サービス開始当初は、基本料金の安さと通話品質の高さから、特に若年層からの人気を得たPHSだが、時代が進むにつれて携帯サービスの利便性が向上し、携帯とのシェア争いに破れ、徐々にジリ貧に。2006年にアステル、2008年にはNNTドコモがPHSサービスを終了すると、“孤高のPHS事業者”として気高く奮闘を続けたウィルコムも、2010年2月に会社更生法適用を申請――。ソフトバンク傘下として再び事業を開始後、2014年にイー・アクセスに吸収合併され、その後名称変更を経てワイモバイルになった――という、通信業界のバガボンドともいうべき運命をたどってきたのだ。

 そんなPHSの“最後の親”とでもいうべきソフトバンクにしてみれば、PHSを根強く支えてくれたユーザー諸氏には感謝しかないご様子で、最後には以下のようなコメントを残してくれた。

「PHSの波乱万丈な25年の歴史を支えてくださったお客さま、本当に本当にありがとうございました!! PHSの思いや技術は今後の新しい通信サービスにつながっています。今後も“ワイモバイル”のサービスにご期待ください」

平成の御代を支えたPHSサービス、2023年3月に完全終了

 ちなみに、法人向けのサービスである遠隔地からの計量・測定サービス「テレメタリング」の契約は2023年3月までは提供されるものの、個人向けのPHS契約に関しては、今回で完全に終了とのこと。2019年9月にサービスを終了したポケベルに次いで、平成初期から中期の我がニッポンを支えた通信手段のひとつが、その歴史に幕を下ろすこととなるわけだ。

 そういえば2000年代初頭の日本では、ITバブル崩壊後の不況を戦う意識高い系サラリーマンから、渋谷を闊歩するチョベリグなガングロギャルまで、みんなピッチを持っていたものよのう――。

 そんなふうにPHSをしのぶアラフォーのオッサン世代も多いと思うが、ソフトバンクをはじめとする通信事業社のみなさんには、PHS事業で培われた技術を武器に、これからもどんどん便利なサービスを作り出していってほしいものである。さよなら、PHS! 

BusinessJournal編集部

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