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ABCマート、急成長が突然停止の異変…出店し過ぎで出店余地消滅か

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
ABCマート、急成長が突然停止の異変…出店し過ぎで出店余地消滅かの画像1ABCマートの店舗(撮影=編集部)

 靴大手のエービーシー・マート(ABCマート)が、「アスレジャー」に力を入れている。業績に急ブレーキがかかっているなか、新たな収益源として育てることができるのか注目される。

 ABCマートはこれまで、大幅な増収増益を続けてきた優良企業だ。2016年2月期は、売上高が前年比11.5%も増加し、本業の儲けを示す営業利益は4.7%増加している。売上高はそれまで7期連続で前期比10%以上の伸びを実現してきた。営業利益も共に大きく伸ばしてきた。

 しかし、ここにきて成長に陰りが見え始めている。17年2月期は売上高が0.3%増の2389億円、営業利益は0.8%増の418億円と、それぞれ微増にとどまった。17年3〜8月期は、売上高が前年同期比で4.5%増加したものの、営業利益は1.5%の減少となっている。暗雲が立ち込めている状況だ。

 そうしたなか、アスレジャーが業績向上の切り札となりそうだ。アスレジャーとは、「アスレチック(運動競技)」と「レジャー(余暇)」を組み合わせた造語で、デザイン性と快適さを兼ね備えたスポーツウェアを普段着として着用するスタイルを指す。アスレジャーはアメリカで人気に火がつき、日本でもここ数年、注目され始めている。

 ABCマートはアスレジャーに特化した新業態「ABCマートスポーツ」を、9月28日に「ららぽーと湘南平塚店」、10月5日に「ららぽーとTOKYO-BAY南館店」と「ららぽーと豊洲店」、10月7日に「キャナルシティオーパ店」、10月21日に「LECT店」と、9月と10月だけで相次いで5店舗オープンした。高まっているアスレジャー需要に対応したい考えだ。

 アスレジャーが注目されている背景には、健康や美容への関心の高まりに伴うトレーニング習慣の定着があるといわれている。20年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの影響もあるだろう。また、インスタグラムなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)とも相性が良いことも普及につながっているようだ。アスレジャー姿は、いわゆる「インスタ映え」するため、広く拡散されている。

 日本では、ナイキやアディダスといったスポーツブランドがアスレジャーで先行している。たとえば、ナイキはアパレルブランドの「ジュン」と組み、15年9月に東京・渋谷で女性向けアスレジャーを扱う新業態「ナージー」をオープンした。店舗ではファッションのほか、化粧品や健康に配慮した飲食料品を扱うなど、新たなライフスタイルを提案している。さらに、名古屋と大阪にも出店を果たしている。

 ABCマートはアスレジャー需要の拡大に伴い、スニーカーやスポーツシューズの販売に力を入れている。一部店舗では、ナイキやアディダスなどのスポーツウェアも扱い、靴と組み合わせて販売することでスポーツをする人を取り込んでいる。こうした店舗に加え、需要が高まっているアスレジャーの新業態を加えることで、新たな収益源として育てたい考えだ。

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