フェイスブック、ウーバー、イケア、ピクサー、そしてアップルやグーグル。世界に絶大な影響力を持ちながら、今なお成長し続ける企業の代表格だ。
彼らは、なぜトップに君臨し続けていられるのだろうか? そこには「カテゴリー」でトップに立つという戦略を見事に実践している事実がある。しかも、重要なことは既存のカテゴリーで勝負しているのではなく、新たなカテゴリーをデザインし、その領域を自社の色に染め上げている点だ。
アメリカで出版されて好評を呼び、日本語翻訳版が出版された『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか』(アル・ラマダン、デイブ・ピーターソン、クリストファー・ロックヘッド、ケビン・メイニー著、長谷川圭訳、集英社刊)は、そんなカテゴリーでトップに立つ「カテゴリーキング」たちの実態を分析する1冊だ。
第1回は「冷凍食品」というカテゴリーを生みだしたバーズ・アイ、第2回は言わずと知れたグーグル、第3回は誰もが知るソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックを取り上げた。最終回の今回は、カテゴリーデザインの考え方を個人の生活やキャリアに応用するという提案をしたい。
モハメド・アリとガンジーの共通点とは
これまでになかったカテゴリーを創造し、企業とプロダクトのデザインを一緒に行っていくことで、そのカテゴリーの中で絶対的な支配を続けることができる。それが、カテゴリーキングになるための端的な道筋だ。これは個人のキャリアにも応用できる、というのが本書の著者たちの考えである。
日々の中で壁にぶつかったとき、これ以上何をしていいのかわからなくなったとき、このカテゴリーデザインの考え方は、あなたの成功の見込みを高めてくれるはずだ。
では、実際にカテゴリーデザインの応用を通じてキャリアを設計した人には、どのような人がいるのか。
まずは、ボクサーのモハメド・アリだ。彼は、それまで存在していたボクサーとはまったく違うタイプのボクサーという新たなカテゴリーをつくった。リング上では「蝶のように舞い蜂のように刺す」といわれた華麗なフットワークと鋭い左のジャブを武器に戦い、一方で公共の場では賢明で率直な振る舞いを見せた。
そして、どんなときでも「プリティ」(アリ自身の言葉)だった。アリ以前のボクサーで、自分のことを「プリティ」と言った者がいただろうか。まぎれもなく、彼は新しいタイプのボクサーだったのだ。
インドの指導者であるマハトマ・ガンジーもそうだった。彼は「非暴力不服従」という新たなカテゴリーを提唱し、インド独立の立役者の1人となったのだ。
個人でカテゴリーキングになる方法
もっといえば、企業よりも個人のほうがカテゴリー設計はしやすい。なぜかといえば、グーグルやフェイスブックのように国際的な競争力を持ったスーパースターにならなくてもいいからだ。
『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか』 Facebook、Google、Salesfroce.com、Uber、VMware、Netflix、IKEA、Birds Eye、5-hour ENERGYやPixarが共通してやってきたことは? 彼らはみな、製品やサービスの新たなカテゴリーを創造し、発展させ、そして支配し続けてきたのだ。