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週休3日でも世界シェア8割…「おかしな」堀場製作所

文=編集部

「おもしろおかしく」が社是

 堀場製作所創業者の堀場雅夫氏は、1924(大正13)年、京都に生まれた。父、信吉氏は京大、同志社大で教鞭をとった化学者で、大阪府立大の初代学長を務めた。雅夫氏は43年、京都帝国大学理学部に入学。物理学を専攻、物理学者を目指した。だが敗戦。生活費と研究費を稼ぐため、在学中の45年に堀場無線研究所の看板を掲げた。日本の学生起業家の草分けである。停電が頻発するなか、コンデンサー(蓄電池)の開発に乗り出した。国産初のガラス電極式pHメーターの開発に成功。53年、堀場製作所を設立した。

 堀場製作所は社員の自由な発想を尊重することを社風とし、社是に「おもしろおかしく」を掲げた。これは雅夫氏の「いちばん大事な年代の、いちばん大切な時間を過ごしている職場において、生きがい、働きがいのある人生を送るということに絶対的な価値がある」という考えに基づく。社員の能力を引き出しながら、「おもしろおかしく」仕事ができる組織を模索する。

「そのためには、自分の得意なことをやることや。得意なことだったら、必ずうまく行くはず。そうしたら周りから尊敬され、精神的にも満たされます。自分の得意な面を見つけて、それをとことん突き詰めてったら、楽しいし、お金も、名誉も、満足も同時に手に入れられる。周りの人も喜んでくれる。得意なことに徹すれば、必ず未来は開ける。そやから最後に僕は『イヤなら堂々とやめろ!』と、言うてやりますわ」(日経ビシネス2014年12月29日号『遺言 日本の未来へ』より)

 雅夫氏が考えついたのが専従制だ。効率性の点では分業型の組織に劣ることを認識しながらも、社員が商品の誕生から、お客の反応を見るまでを一貫して担当することにした。商品ごとに専従する人を決めた。待遇面では1日の勤務時間を少しずつ延長して休める日を増やして「週休3日制」を一部導入するなど独特な社風をつくりあげた。

 この社風がドル箱となる製品を生み出した。肥料をつくるときの品質管理などに使われるpH(水素イオン濃度指数)メーターの開発からスタートしたが、公害問題の広がりを受けて気体の分析装置を開発。自動車の排ガス測定装置は世界に知られる大ヒット製品となった。排ガス測定装置は売り上げの4割を稼ぐ“4番バッター”になった。

 雅夫氏は経営の第一線から退くと、ベンチャー企業の育成に力を注いだ。

 堀場製作所は、仏ABX社(1996年)、仏ジョバンイボン社(97年)、独カール・シェンク社の事業(05年)、英MIRA社(15年)を買収したが、すべて相手からの申し入れだった。社是の「おもしろおかしく」を英語に意訳した「JOYandFUN」というHORIBAの企業文化に共感してくれたからだったという。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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