こんにちは、トイアンナです。年明け早々に昨年のクリスマスを振り返りたいのですが、昨年は「クリスマスの盛り上がりを感じなかった」と思いませんか?
例年どおり街にはイルミネーションもありました。ケーキも食べたかもしれません。一方で、高級レストランで派手にお祝いしたり、高価なプレゼントをあげたりする「カップル的な盛り上がり」「無理やりにでもパーティをせねばならない感覚」は薄れたように思われます。そこで、Twitterの機能を利用してアンケートを実施しました。
この結果をご覧いただくと、「クリスマスは下火になった」と感じている方の多さに気づかされます。私自身が下火と感じているだけなら「年を取ってはしゃぐ年齢でもなくなった」といえますが、年齢を区切らない調査でも「最近はクリスマスが下火」となっているのです。
年末商戦が「家族向け」になっている
しかし、経済ニュースを調べると「2017年の年末商戦は好調」とされています。12月のデパートの売上は前月と比較して平均44%も伸びます。ボーナスによる「ごほうび」の購入とクリスマス、そして年末年始の準備による購買が重なるからです。
企業は売上を伸ばしている、それなのになぜ「下火」と感じられてしまうのか。それには年末商戦のメイン商材を見ればわかります。17年の年末商戦のリーダーになったのは、ゲーム機の「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」でした。購買層に「子育て世代が目立った」と報じられています。
つまり、「クリスマスは盛り上がっている。ただし家族向けイベントとして」というのが正解なようです。
デートもパーティーも、自宅派が多数
マイナビの調査では、クリスマスに誰かと会う人も「ホームパーティ」が他の項目を圧倒しています。さらにプレゼントに関しては「何もいらない」が4割。贈る側も「何もあげない」が最も多く、その他も「食事(レストランなどの外食)」が2位。高価なプレゼントを贈り合うカップルは、いまやレアケースとなりました。
かくいう私も今年は友達とのホームパーティーが2件あったのみ。ダラダラとご飯を食べながら、海外ドラマを見て終わりました。買ったものといえば、友達へのお土産にお酒とケーキを用意した程度です。
もともと交際相手のいない男女が増加しているなか、さらにクリスマス・パーティーのインドア化が加速。家族はもともと家でクリスマスを楽しむ傾向にありますから、街中でクリスマスを感じることが減ったのも自然の成り行きでしょう。そろそろ「若者のクリスマス離れ」などというフレーズが広がりかねません。
見栄や「空気を読む」ことから生まれた消費の埋め合わせ
数十年前の日本人は「流行している、みんな買っているなら自分も……」と、トレンドに敏感な面を持っていました。その結果、「みんなが買っているものを買いたい、けれど自分はちょっとだけ高価なものがよい」と見栄も相まって高額なプレゼントを購入したり、派手な外食への出費を惜しみませんでした。当時の好景気に支えられていた面がありつつも、お金のない若者まで背伸びをした購買をしやすい土壌があったのです。
それを「よかった」と言いたいわけではありませんが、国民が一斉に同じものを買うことで景気が牽引されていたのは否定できません。しかし現代は「流行っている」だけではモノが売れなくなりました。「恋人がいるからといって、高級品をプレゼントしなくていい」「予約の取れないフレンチへ行くばかりが正解じゃない」時代になったのです。
トレンドに呼応するなら、小売も「クリスマスだから」と高額なプレゼントを広告に出すのは時代遅れかもしれません。特に「モノ」より独自の経験に価値を見出す「コト」消費がもてはやされるなか、プレゼントという考え方自体が古くなっているともいえるでしょう。カップル消費が下火になるなか、どのようにして来年以降の売上を下支えするか。企業の年末商戦をめぐる中長期戦略が問われます。
(トイアンナ/ライター、性暴力防止団体「サバイバーズ・リソース」理事)