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ボロボロになった三越伊勢丹…自社ブランド過信の代償、ひたすらリストラで不動産会社化

文=編集部
ボロボロになった三越伊勢丹…自社ブランド過信の代償、ひたすらリストラで不動産会社化の画像1日本橋三越本店(撮影=編集部)

 5月11日の東京株式市場で、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、百貨店業界の株式時価総額首位の座を、初めてJ.フロントリテイリングに明け渡した。終値ベースでの時価総額は三越伊勢丹HDが4189億円、J.フロントは4362億円。

 三越伊勢丹HDは2008年4月に三越と伊勢丹の経営を統合して以来、時価総額で業界首位を守ってきたが、J.フロントに逆転された。J.フロントは巨大高級商業施設「GINZA SIX」の開業で高い評価を受け、一方の三越伊勢丹は社長解任の“お家騒動”に揺れていた。

 だが、その後、再逆転した。12月12日の終値ベースの時価総額は、三越伊勢丹HDが5428億円、J.フロントは5313億円。それでも、小売業ランキングでは三越伊勢丹が13位、J.フロントが14位で、いずれもベスト10にも入らない。かつて小売業の花形だった百貨店の凋落ぶりを映し出している。

脱百貨店のビジネスモデル、高級商業施設GINZA SIX

 4月20日、銀座中央通りに面する銀座6丁目にGINZA SIXがオープンした。J.フロントの中核企業である松坂屋銀座店の跡地を中心に開発。総事業費は830億円で、森ビル、LVMHグループ、住友商事と組んだ。

 J.フロントは07年9月、大丸と松坂屋ホールディングスが経営統合して発足。山本良一社長は早くから、百貨店に依存しない事業モデルを構築してきた。GINZA SIXは、百貨店という旧来のビジネスモデルからの脱皮を体現したものだった。

 J.フロントが進める脱百貨店施策は、もうひとつある。18年2月期決算から国際財務報告基準(IFRS)に移行することだ。IFRSに移ると売上高が劇的に変わる。日本会計基準では、顧客への販売金額がそのまま売上高として計上されるが、IFRSでは販売金額から仕入れ値を差し引いた販売マージンだけしか売上高に計上できない。そのため売上高は大きく目減りする。

 J.フロントの18年2月期の連結決算の見通しは、売上高に当たる売上収益は4720億円。IFRSで概算した17年2月期比で4.3%増。営業利益は同17.4%増の490億円、純利益は同5.4%増の285億円になる。

 日本基準での総売上高は0.7%増1兆1420億円の見通し。このように劇的に売上高が目減りするため、日本会計基準を採用する三越伊勢丹HDや高島屋との比較が今後、難しくなる。

 J.フロントの18年2月期の百貨店事業の売上収益は前期比1.7%増の2729億円、営業利益は17.2%増の260億円を見込む。インバウンドや富裕層の購買が好調な都心店が牽引し、増収増益となる。全社の営業利益の53%を占める。

BusinessJournal編集部

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