居酒屋「和民」などを展開するワタミの業績が回復しつつある。
先月発表された2017年4〜9月期の連結決算は、売上高は前年同期比1.6%減の474億円、経常損益は1億5600万円の黒字(前年同期は9億2600万円の赤字)だった。わずかに減収だったものの減少幅は狭まり、経常損益は4年ぶりに黒字に転換した。
国内外食事業の足元の業績は好調だ。10月は台風の影響などで既存店売上高が前年同月比で1.0%減少したが、11月は5.2%増加した。4〜9月では前年同期比7.2%増となっている。
脱「和民」が功を奏している。焼き鳥が主力の「三代目鳥メロ」、から揚げが主力の「ミライザカ」に業態転換を推し進めていった結果、転換した店の売上高は前年同期比で平均30%超の増加を果たしたという。両ブランドとも鶏肉を使った料理と1杯199円のアルコール飲料が人気だ。17年9月末時点の合計店舗数は16年9月末から98店純増の188店となっている。
これまでグループの顔だった総合居酒屋「和民」「わたみん家」も好調さを取り戻している。4〜9月期の既存店売上高は、それぞれ前年同期を上回った。不採算店の転換や撤退を推し進めたことにより、競争力の高い店舗が残ったという側面がありそうだ。17年9月末時点の合計店舗数は16年9月末から109店純減の196店となっている。
だが、総合居酒屋は今後、先細りするだろう。「料理はいろいろあるけれど、どれも月並み」というイメージが徐々に広がっている。焼き鳥に特化した居酒屋「鳥貴族」が躍進していることからもわかるとおり、何かに特化した居酒屋でないと今後生き残ることは難しいといえる。そのため、脱「和民」は必然の流れといえるだろう。
そのような背景から「三代目鳥メロ」と「ミライザカ」への転換を図っているのだが、これだけでは十分とはいえない。両ブランドとも鶏料理を主力としているため、「鳥インフルエンザ」など鶏特有の問題が発生してしまうと壊滅的な打撃を被ってしまう。また、「鳥貴族」が勢力を拡大したり、他の大手居酒屋が鶏料理を充実させるなど、鶏料理市場をめぐる競争は激化している。鶏料理以外で収益の柱を育てることが必要だろう。