香港に拠点を置く「物言う株主」(アクティビスト)のオアシス・マネジメント・カンパニーが、人材派遣大手のパソナグループに経営改善の提案書を突き付けた。
オアシスは2017年11月9日に開設した特設サイトで、パソナの発行済み株式の5%弱を保有していることや、提案書をパソナ側に送ったことを公表した。経営陣との面談を求め続けているが、拒否されていることにも言及した。
オアシスの創設者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は、11月10日付日本経済新聞のインタビューで、パソナに経営改善の提案書を提出した理由をこう述べている。
「良いビジネスを持っているのに、経営資源の配分やコスト管理体制、コーポレート・ガバナンス(企業統治)に欠ける。我々の提案が実現すれば、営業利益率は(業界平均を下回る)1.6%から5.9%へ劇的に改善するとみている。(略)南部靖之グループ代表は東京都心に牧場をつくったり、豪華な迎賓館をつくったり、周りに何もない地方にテーマパークをつくったりしている。個人のアイデアとしてはいいが、上場会社の施策として適当ではない。会社を個人の貯金箱のように使うのはやめるべきだ」
オアシスが槍玉に挙げたのは17年8月、東京・大手町のパソナ本社に開設した牧場のことだ。山羊、牛、豚、フラミンゴ、フクロウを飼っている。同年7月には体験型テーマパーク「ニジゲンノモリ」を兵庫県淡路島にオープンした。
また、迎賓館とは東京・元麻布の「仁風林」を指す。14年、ミュージシャンのASKAが覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されたとき、仁風林がスポットライトを浴びた。パソナが政治家や官僚を接待するために設けた迎賓館で、美女たちが“おもてなし”をしていた。ASKAは迎賓館の常連で、一緒に逮捕された女性は“おもてなし組”のひとりだった。
オアシスは南部氏に対して、「道楽とビジネスを混同するな」と警告したわけだ。