世界全体で、ハイテク技術を用いた新しいプロダクトの“基盤”を開発しようとする企業が増えている。また、IT業界ではアマゾンやアリババドットコムのように、自社のIT空間を通して、企業や消費者がモノを購入したり、サービスを利用する機会を増やすことが強化されている。ビジネスや消費など、経済活動の“プラットフォーム=基盤”を開発し、シェアを獲得することが多くの企業にとって重要な課題となっている。
12日に閉幕した世界最大の家電見本市である「CES」は、それを確認する機会となった。アマゾンなどと組んで、トヨタ自動車が新しい自動車のコンセプトを発表したことは、その一例である。トヨタは、衣食住の基盤としての自動車の開発を目指している。
今や自動車は、IT空間とつながるコネクテッドカーをベースに、デジタル家電などの要素を取り入れて生活の幅広い分野で使われるデバイスと考えられている。このように、IT技術の高度化とその活用が、常識を覆すことが増えている。加えて、多くの企業がIT技術の活用を通した新しいビジネスのプラットフォームを単独ではなく、複数の企業と連携して開発しようとしている。
金融業界でも、IT技術と金融ビジネスの融合である「フィンテック」を強化する企業が増えている。国内でも銀行業界を中心に“効率化”のためにIT技術が重視されている。そのひとつの例が、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が開発を進める「MUFGコイン」だ。各行独自の取り組みがどのようにして世界的なプラットフォームの開発競争に対応していくかは、国内金融業界の将来を左右する要因のひとつとなるだろう。
銀行が独自の通貨を発行する時代の到来
2017年の世界経済を振り返ると、さまざまな“想定外”の出来事が起きた。特に、ビットコインをはじめとする“仮想通貨”の価値がドルや円に対して急騰したことは、多くの経済学者や投資家の関心を引き付けた。
ビットコインには致命的な問題がある。1ビットコインの価値がどれだけか、裏付けがないことだ。そのため、ビットコインの価値は需給に左右される。欲しい人の数が相対的に多ければ、ビットコインは買われ、価値は上昇する。その逆も然りである。