2020年、小学校で新学習指導要領による教育がスタート
センター入試に代わる「大学入学共通テスト」が実施される2020年は、日本の教育の今後を決める大きな分岐点となりそうです。というのも、同年度は大学入試改革に加えて新学習指導要領が施行される年だからです。
学習指導要領というのは、全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省が学校教育法等に基づいて、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めたもの。これまでほぼ10年ごとに改訂をされてきました。そして、2020年度から小学校で、その後、中高で順次、新学習指導要領が実施されます。
日本では、基本的にこの枠組みのなかで教育を行うことが求められているので、これからの教育の方向性に大きな影響力を持つものだといえるでしょう。かつて、「ゆとり教育」から「学力重視」へと振り子のように揺れた日本の教育ですが、そのときどきの学習指導要領をみるとその変遷がよくわかります。
しかし、一般にはその内容が十分理解されているとはいえないので、2020年度から実施される新学習指導要領について解説をしたいと思います。
狙いは、変化の激しい社会を生き抜く力の育成
まず、2020年度から順次施行される新学習指導要領のねらいは、なんでしょうか。文科省は次のように言っています。
ずいぶん盛りだくさんですね。要約すると「子どもたちが、変化の激しい時代を生き抜き、社会の中で活躍できる資質、能力を育成する」ということでしょうか。
背景としては、次のことがあげられます。
これまで日本は、マニュアルを覚えて正確に再現する「暗記力」「再現力」で世界一になってきましたが、今は海外のマーケットで戦わなくてはならないなかで、競争が激化し、中国やインドなどに技術力でもかなわなくなっているといわれています。加えてAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、量子コンピューターなど、圧倒的な技術の進化もあり、先行きの見えない、変化と競争の激しい時代に突入しているなかで、手をこまねいていると、既存の企業がなくなるかもしれないという瀬戸際にきているといわれています。