――「HEART CLOSET」の商品がほかのブランドと違う点は?
黒澤 一番はサイズですね。提供しているすべてのアイテムにバストサイズの概念を取り入れ、「アンダー65のDカップならSサイズ」と、胸の大きさから洋服を選んでいただけるようにしています。胸元には立体裁断を用いて、窮屈になってしまうバストラインをスッキリと見せています。
また、細かい部分では、ブラウスなら胸のボリュームで上がってしまいがちな前丈を少し長めに取り、胸元に隠しボタンをつけてボタンの隙間から下着が見えないようにし、ワンピースなら太って見えてしまいがちなシルエットを改善するために、ウエストラインを調整するアジャスターをつけたりしました。
――購入した女性たちからの反響はいかがですか?
黒澤 コンセプトに共感してくださるお客様が多かったですね。「今までずっと困っていた」「なんでこういう商品がなかったんだろう」という意見をいただいています。
――これまではECサイトがメインでしたが、2017年9~10月には初のリアル店舗となる期間限定ショップを西武池袋本店に出店しました。
黒澤 ありがたいことに、沖縄や新潟からわざわざ買いに来てくれるお客様もいました。「胸が大きいことによる悩みを抱えながら、これまで声を上げられなかった女性が、いかに多いのか」ということを実感しました。
――胸の大きい女性たちに「HEART CLOSET」の存在が届きつつあるわけですね。
黒澤 いや、まだまだですよ! 16年に下着メーカーのトリンプさんが行った調査によれば、現代の日本人女性の過半数がDカップ以上のバストサイズで、さらに4人に1人がEカップ以上です。困っている女性は、もっと大勢いるはずなんです。だからこそ、私たちが考える「胸のサイズから服を選ぶ」というファッションのあり方をスタンダードなものにしたいと思っていますし、しなきゃいけないと思っています。
――それによって、胸の大きい女性に対する見方も変わるかもしれません。
黒澤 私たちには、「胸の大きな女性たちにポジティブになってもらう」という使命があります。男性にも、「胸の大きな女性たちは、実はこういう悩みやコンプレックスを持っている」「傷ついている」と知ってもらい、理解してもらえば、コンプレックスや悩みを抱く女性たちも生きやすくなるはずです。
――同じ女性として応援します。
黒澤 自分の体を否定するのではなく、愛せるように。これからも、その手助けをしていきたいと思っています。胸が大きいことは、“女性らしい”という素敵な部分を持って生まれたということなんですから。
(構成=森江利子/清談社)
●取材協力/「HEART CLOSET」