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「不動産会社化する」東急電鉄、渋谷「大変貌」再開発に巨額投資の狙い

文=編集部
「不動産会社化する」東急電鉄、渋谷「大変貌」再開発に巨額投資の狙いの画像1東急田園都市線(「wikipedia」より)

“ポスト東京五輪”をにらんだ、企業トップの交代が相次いでいる。東京急行電鉄もそのひとつで、4月1日付で高橋和夫氏が新社長に就任した。前社長の野本弘文氏は代表権のある会長に就いた。

 2020年、東京で夏期オリンピック・パラリンピックが開かれるのに合わせて、都心部の再開発が加速中だ。東急電鉄は、本拠地である渋谷や沿線の再開発に全力投球している。

 11年に社長に就任した野本氏は、12年開業の複合施設「渋谷ヒカリエ」、13年には東横線と東京メトロ・副都心線の相互直通運転を開始するなど、渋谷駅周辺の大規模再開発や、11年開業の「二子玉川ライズ」など二子玉川エリアの集客力アップに注力してきた。

 18年秋には再開発ビル第1号となる「渋谷ストリーム」が開業する。旧東横線渋谷駅の地上駅と線路跡地を利用したビルだ。27年度までに超高層ビルが合計7棟、誕生する予定で、高橋新社長は渋谷の再開発の総仕上げに力を入れる。

高橋新社長の豪腕ぶり

 高橋氏は1980年、一橋大学を卒業後、東急電鉄に入社。交通事業の統括部門を担当し、91年にバス部門が分社化したのに伴い、東急バスに出向。現業を含めてひととおりの仕事を経験し、東急バスの常務を務めた。

 その後、東急電鉄に復帰し2011年、取締役経営管理室長に就いた。

 高橋氏の名前が知られるようになったのは、仙台空港の運営権争奪戦だ。国が管理していた仙台空港は16年7月1日、民間委託による運営を開始した。国管理の空港では初の民営化である。東急電鉄、東急不動産などの企業連合が設立した仙台国際空港が現在、運営している。

 この運営権をめぐって三菱地所=大成建設、三菱商事=楽天、イオン=熊谷組と争奪戦を繰り広げ、東急電鉄グループが勝利した。その陣頭指揮を執ったのが、常務経営企画室長の高橋氏だった。高橋氏は「剛腕」との評価を得た。

 その後も空港運営権の争奪戦に参戦。19年4月、静岡空港は民営化されるが、運営を担う優先交渉権者に東急電鉄=三菱地所企業連合が選定された。

 仙台空港の争奪戦に勝利した功績で高橋氏は16年、専務経営企画室長に昇格。18年4月、社長の椅子に座った。

 東急電鉄の業績は好調だ。18年3月期の連結決算の売上高は前期比2.0%増の1兆1394億円、営業利益は同6.4%増の830億円、当期純利益は同4.0%増の700億円を見込んでいる。そのなかで、特に不動産事業の比率が高い。本業である交通事業(鉄道とバス)の営業収益は同1.8%増の2112億円、営業利益は同8.6%増の290億円。これに対して不動産事業の営業収益は同7.4%増の1827億円、営業利益は同6.9%増の327億円と予想している。営業収益は交通事業に迫り、営業利益は交通事業を上回る。

 高橋氏は社長就任会見で、「100周年を迎える2023年3月期には、営業利益で18年3月期予想比33%増の1100億円を目指したい」と述べた。不動産事業が目標達成の大黒柱となる。

 21年3月期を最終年度とする中期経営計画では、設備投資に5200億円を投じる。内訳は鉄軌道など既存事業に2600億円、成長投資は渋谷再開発に1200億円、沿線開発に800億円、海外案件は600億円。

 渋谷再開発は「渋谷ストリーム」と東横線の線路跡地の開発「渋谷代官山Rプロジェクト」を今秋に開業。それに合わせて渋谷川の清流を復活させる。渋谷駅街区で建設している「渋谷スクランブルスクエア東棟」を19年にオープンする。

 渋谷駅周辺開発が終了した後の渋谷エリアをどう深耕していくのかが、高橋氏の腕の見せどころだ。
(文=編集部)

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