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政府、ビールの定義変更へ

文=山田稔/ジャーナリスト
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政府、ビールの定義変更への画像1モルソンがナイトタイム・アンバサダーとして戦略パートナーに起用したm-flo

 国内出荷量の減少が続くビール業界に、変革の機運が出てきた。ひとつは4月からの改正酒税法施行に伴う規制緩和だ。2017年度の税制改正でビール類の税率一本化に伴い、ビールの定義変更が決まり、18年度からその定義が拡大された。

 これまでのビールの定義では、麦芽使用比率が「67%以上」で、使える副原料も麦、コメ、トウモロコシ、バレイショなどと制約があった。それが今回の規制緩和で麦芽使用比率は「50%以上」に引き下げられ、副原料も大幅に範囲が拡大された。果実、コリアンダーシード、コショウなどの香辛料、そば、かつお節など10種類が認められ、副原料の合計は麦芽の重量の5%までとされた。

 4月以降、アサヒビールがハーブのレモングラスを使った「グランマイルド」を、サッポロビールは子会社からグレープフルーツとオレンジのピール(皮)を使った「ビアチェッロ」を、それぞれ発売した。

 大手だけではなく、クラフトビールメーカーも攻勢を掛ける。「よなよなエール」や「水曜日のネコ」で知られ、急成長中のヤッホーブルーイングは、副原料にかつお節を使った「SORRY UMAMI IPA」をインターネット通販などで販売を始めた。大手からクラフトビールメーカーまで、規制緩和を市場活性化に結び付けようと知恵を絞っている。

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 国内市場の冷え込みが続くビール業界にとって、ここ数年のインバウンド(訪日外国人客)の激増は、新たなビジネスチャンスとなっている。年間2600万人ものインバウンドが滞在先でビールを飲み、国内のビール工場を見学に訪れる外国人も急増している。

 訪日客が日本のビールのおいしさを知り、ファンになるケースが増えている。また、海外での和食ブームと相まってアジア向けを中心にビールの輸出が増えており、17年は前年比35.7%増の大幅な伸びだった。

 13年連続でビール類の出荷量が過去最低を記録するなど国内市場が冴えないなか、インバウンド消費と輸出増は光明だ。20年の東京五輪に向け、政府はインバウンド4000万人の目標を掲げており、外国人ニーズはさらに高まりそうだ。

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