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こうした状況をビッグチャンスととらえたのだろう。世界5位の米ビールメーカー、モルソン・クアーズ(売上高110億ドル=約1兆1600億円)が、世界70カ国以上で飲まれているビール「ミラージェニュインドラフト」を5月から日本国内で売り出す。4月12日に六本木ヒルズで発表会が行われ、販売元モルソン・クアーズ・ジャパンの斉藤幸信社長が日本市場進出のビジョンを語った。18年度(5~12月)は年間100万本の販売を目指すというモルソンが、この時期に日本進出を決めたのは、プレミアムビールのシェア拡大、インバウンド急増、20年からの酒税一本化を睨んだものだ。
「プレミアムビール市場は、日本だけでなく世界的にも拡大しています。そうしたトレンドのなかで、日本を訪れる外国人が激増していることは海外ビールメーカーにとって見逃すことはできない商機です。多くの外国人たちにとってミラーは飲み慣れたブランドですから、東京のナイトライフなどで手にする機会が多くなるでしょう。2020年以降に実施される酒税の税額一本化もチャンスです。発泡酒などの酒税が上がることで、結果的にビールの販売が伸びると予想されるため、海外組は商機が拡大すると判断したのでしょう」(経済ジャーナリスト)
20年に向け、国内ビールメーカーとの熾烈な争いが勃発することになる。
夜の経済「ナイトタイムエコノミー」の拡充
モルソンが顧客ターゲットに据えているのは、20~30代の男女。国内ではビール離れが進んでいるといわれる世代で、すなわち若者をビールの世界に取り込もうというわけだ。そのカギはナイトタイムにある。
「モルソンは、週末の盛り場で活発な消費活動を繰り広げている『六本木男子』『銀座男子』といった20~30代の男性をターゲットに、カフェやクラブなどのナイトライフシーンでブランディングを強化していく方針を明らかにしました。そこで若い世代に人気の音楽グループのm-floをナイトタイム・アンバサダーとして戦略パートナーに起用したのです。英国やドイツなど欧州で導入されているナイトメイヤー(夜の市長)の役割が注目されています。夜の街の環境整備や安全なまちづくりなどを通じて活性化を図ろうという施策で、日本でも同様の動きが始まっています」(同)
夜の盛り場の若者をターゲットに、モルソンは20年に日本国内で、海外ビールブランドのなかでトップ3入りを目指す。
(文=山田稔/ジャーナリスト)
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