最大震度7を2度観測し、多くの被害を引き起こした2016年4月の熊本地震。住宅の全半壊は4万3392棟に及び、今も3万8000人が仮設住宅での生活を余儀なくされている。地震から2年が経過し、県が「創造的復興」と銘打つ再建の槌音が県内のあちこちで響く。
一方、生活保護受給世帯のうち、災害弔慰金や地震保険の保険金を受け取った376世帯が、今年2月までに生活保護費を打ち切られるなど、行政側の杓子定規な対応に非難の声も上がっている。
そんななか、地震で店舗が全壊した老舗宝飾店主が発信したツイッターが炎上する騒ぎが発生し、インターネット上で大きな波紋を呼んでいる。
ツイッターを発信したのは、熊本市中央区で124年以上続く老舗宝飾店「ソフィ・タカヤナギ」の高柳隆大社長。仕入れ先のセイコーウオッチから、2017年の販売金額が規定のノルマを下回ったことを理由として、同社の高級ブランドウオッチ「クレドール」の取り扱い認定を取り消された。それに納得がいかなかった高柳社長は、自社の公式ツイッター上に、認定を取り消す旨が記されたセイコーウオッチ側の確認書の画像をアップしたのだ。
ソフィ・タカヤナギは、店舗のあったビルが熊本地震で「全壊」判定を受けた。1階にあった店舗内は、水道管が壊れ水浸しになった。それでも、昨年4月まではどうにか営業を続けたが、ビルの共同所有者とともに建物を解体し建て直すことを決意。現在は近くに借りた仮店舗で営業しているが、売り場面積が半分以下になったことなどから、売り上げは地震前より3割も減ってしまったという。
高柳社長に話を聞いた。
「セイコーさんには、2016年は『販売ノルマは気にせず再建してください』と言っていただきました。2017年も、スイスの大手メーカー2社に『ノルマはいいから』と言っていただき、セイコーさんについてもそのつもりだったのですが、『それは2016年の話で、2017年については何も聞いていない』と、“言った・言わない”と水掛け論になりました。私もビルの建て替え等で忙しくしており店舗にいないことが多く、2月に担当者が店舗にやってきたときも出張で店にいませんでした。その後、一方的にクレドールの取り扱い認定を取り消されたのです」(高柳社長)