1月末、コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンが、国内2万店を達成した。大手のファミリーマート、ローソンと合わせると、その店舗数は全国で約5万店。そのほかミニストップやデイリーヤマザキ、セイコーマートを加えれば6万店に迫る。
いまや、私たちの生活に欠かせなくなったコンビニは取り扱う商品を年々充実させて、営業時間も24時間。まさに、至れり尽くせり。そのため、コンビニさえあれば、ほかの商店は不要とさえ感じるだろう。
そんな快進撃を続けるコンビニだが、最近は出店ペースが鈍化している。国内の市場は飽和状態のため、最近では宅配にまで裾野を広げる。コンビニは、外食産業の領域にも進出し、どんどん強大化した。もはや、コンビニに勝てる小売店はない。外食産業もコンビニに屈しつつある――と思われていたが、コンビニを脅かす存在が現れ、王者・セブンイレブンでさえも劣勢に立たされている。
そんな存在の一角は、いうまでもなくネット通販。具体的にはアマゾンだ。ネット通販の市場規模は、年を追うごとに拡大。ネット通販ならば、コンビニを凌駕する品揃えで対抗できる。コンビニの持ち味でもある“何でも揃う”“いつでも買い物ができる”という利点でネット通販が上回るようになってきた。
これまでネット通販は、生鮮食品が弱点といわれてきた。しかし、既存のスーパーを買収するなどして、ネット通販は着実に利便性を増している。とはいえ、ネット通販は画面上でしか商品を見ることができない。実際の買い物では、目で見て、手に取ってから買いたいという欲求が消費者にはある。特に生鮮食品は、ネット通販より実際の店舗のほうが強かった。
コンビニの主力商品は日配食品と呼ばれる、弁当やパンなどだ。ネット通販が力を増してきた昨今でも、弁当やパンはコンビニが勝てる商品分野だった。弁当やパンは、見た目が購買意欲を大きく左右する。だから、ネット通販は歯が立たない。
コンビニ大手3社でも、特にセブンは日配食品に力を入れている。セブンのPB(プライベートブランド)である「セブンプレミアム」や「セブンプレミアムゴールド」は、それまでPBの常識だった「安いから、マズい」を覆し、「高いけど、うまい」という評判を確立した。セブンは商品の品揃えだけではなく、日配食品の質も向上させた。当初から業界1位を独走していたセブンだが、これらによってコンビニ業界で独走状態に入る。ファミマやローソンもセブンへの対抗策を打ち出すものの、セブンには遠く及ばない。コンビニ業界のみならず小売業でセブンに太刀打ちできる店はない。業界内では、そんな見方も根強くあった。