みずほフィナンシャルグループ(FG)は6月11日、全9回に及ぶ次期勘定系システムの移行作業の第1弾を終えたと発表した。
傘下のみずほ銀行とみずほ信託銀行の入出金や口座管理を担う勘定系システムを刷新し、現在併用する旧みずほ銀行、旧みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3つのシステムを一体化することで、データ処理を効率化する。
6月11日の第1弾は、みずほ銀行、みずほ信託の顧客名や住所などの基礎情報を移行。7月に旧みずほコーポレート銀行にある大企業顧客の取引データ、9月からは旧みずほ銀行の顧客データを新しいシステムに移す。9月は6店舗が対象だが、10月以降は約100店舗を対象とする作業が続く。
2019年度上期にみずほ信託のシステムを移行するという行程だ。作業時間帯には、現金自動預け払い機(ATM)やキャッシュカード、デビットカードが利用できなくなる。
みずほFGは過去に2度、大規模システムの障害を起こした。「2度あることは3度ある」というが、3度目の失敗は許されない。
システム障害は3行の派閥抗争の産物
みずほFGは、旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行が経営統合して誕生した。中小企業・個人取引が中心のみずほ銀行(BK)と大企業取引のみずほコーポレート銀行(CB)として出発した。
しかし、新体制は出足からつまづいた。02年4月1日、みずほBKの開業初日、2500億円という巨額の費用をかけ、延べ9万人がかかわった基幹システムが、稼働と同時に大規模なシステム障害を起こした。
みずほBKでは旧第一勧銀のカードは旧富士銀のATMで使えなくなり、旧富士銀のカードは他銀行のATMでまったく使えなくなった。さらに、現金が引き出されていないのに、通帳には引き落としとして記載され、残高が減るトラブルも起きた。二重引き落としが3万件、二重送金が5000件発生した。
表面上はシステム上のプログラムミスだったが、それは二次的、三次的要因でしかなく、実態は派閥抗争の産物だった。
基幹システムは旧第一勧銀が富士通製、旧富士銀が日本IBM製、興銀が日立製作所製を採用していた。システム統合問題は銀行とITベンダー(システム開発企業)がタッグを組んだ主導権争いに発展した。