マイナス金利政策による利ザヤ縮小やIT(情報技術)による効率化を背景に、3メガバンクは経営統合以来の大リストラ策を打ち出した。みずほフィナンシャルグループ(FG)は1万9000人、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は9500人、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は4000人――。
3メガバンクは2017年末、相次いで人員や業務量の削減目標をまとめた。3社合計で3万2500人の大リストラである。この数字が新聞を賑わし、銀行業界が「構造不況業種」に転落したことを告げていた。
3メガバンクグループの17年9月期中間決算は業績の濃淡が鮮明になった。
本業の儲けを示す業務純益(一般事業会社の営業利益に相当)は、MUFGが前年同期比3.4%減の7007億円、SMFGが9.7%増の6013億円、みずほFGが40.1%減の2416億円。最終利益はMUFGが27.8%増の6269億円、SMFGが17.0%増の4201億円、みずほFGは11.5%減の3166億円だった。
取引先の経営改善による「戻り益」はMUFGが647億円、SMFGが254億円あり、最終利益を押し上げた。しかし、みずほFGは1235億円の「戻り益」がありながら、最終減益となった。みずほFGの一人負けである。
事業の柱である国内の銀行業務は、日本銀行の超低金利政策の直撃を受けた。預金者に払う金利はゼロに近付き、コストは低いが、一方で住宅ローンや企業融資での低金利競争が続き、貸出金利と預金金利の差の「利ざや」が縮小した。
3グループの主力銀行の利ざやは、みずほFGが0.86%、MUFGが0.85%、SMFGが1.03%に縮小した。貸出残高も大きく伸びず、貸し出しに関する収益の状況は厳しい。
それなのに、高給の銀行員を多数抱え、駅前の一等地にある支店の維持コストも大きい。経費率はMUFGの60.1%、SMFGの56.9%に対して、みずほFGは72.6%と突出して高い。
民間から資金を集めて大企業に貸し出すというメガバンクのビジネスモデルが成り立たなくなってきた。高度成長が終わった大企業は、資金を必要としなくなったからだ。
かくしてメガバンクは大リストラに踏み出した。コスト高な銀行ほどリストラは大規模になる。
もっとも踏み込んだのがみずほFGだった。26年度までにパートを含む従業員数の4分の1を減らす計画。ターゲットはバブル期の大量採用組だ。国内拠点も24年度までに全体の2割にあたる100拠点を減らす。構造改革で1000億円半ばの経費を抑制。3メガバンクの中でとび抜けて高くなっているコスト構造を変え、稼ぐ力の復活を目指す。