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高給な人件費に潰されるみずほ銀行…経営統合失敗で従業員4分の1を削減

文=編集部
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MUFGは旧三菱銀行が経営権を握る

 MUFGは2005年、三菱銀行と東京銀行を母体とする三菱東京FGが、三和銀行と東海銀行が統合したUFJグループを救済合併して発足した。

 持ち株会社のMUFGの社長と傘下の三菱東京UFJ銀行(BTMU)の頭取は三菱銀行出身者が独占してきた。合併を重ねても、終始、三菱銀行出身者が経営の主導権を握ってきた。ガバナンスが機能したことが、MUFGがメガバンクの勝ち組になった最大の理由である。

 ところが、近年、鉄の団結を誇ってきたMUFGに綻びが生じたと映る出来事が相次いだ。

 17年5月24日、MUFG傘下のBTMUの小山田隆頭取の退任が発表された。16年4月に頭取に就任したばかりで、1年での退任は極めて異例。退任をめぐって、さまざまな情報が飛び交った。平野信行会長と永易克典相談役の対立の板挟みで小山田頭取が苦労していたとの証言がある。

 新しい頭取になった三毛兼承副頭取は、17年3月決算に合わせてグループ証券会社の社長含みで副社長として転出することが内定していた。この人事が急遽、白紙に戻され「次の次の頭取候補まで決まっている」と評されるBTMUで、終わった人(銀行から出る人)が頭取になった。長い歴史で初めてのことである。

「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/17年7月29日号)によると、BTMUが誕生して以降の頭取は三菱銀行出身者が独占。9階に個室を持つ特別顧問も全員が三菱銀行出身。三和銀行出身など外様の特別顧問は旧東京銀行本店の日本橋別館に追いやられているという。9階の権力者と、平野会長が行名変更で対立した。

「5月に発表されたBTMUの行名変更をめぐって、平野会長は「MUFG銀行」にする方針だったが、「三菱」の名前を外すことにOB会が大反発。結局、「東京」を外して「三菱UFJ銀行」に変更することで落ち着いた」(同誌より)

“三菱ファースト”のOBたちは「三菱」の冠に固執した。将来、UFJも消して「三菱銀行」に戻すことが狙いではないかと見る向きも多い。

 抗争の根柢には平野氏が、金融庁の進める、相談役の仕事内容や個別報酬の開示をテコに、永易氏ら相談役の影響力の排除を狙っていたという見方がある。OBたちは猛烈な巻き返しに出た。平野氏と永易氏の対立が激化し、その板挟みで、小山田氏が辞任に追い込まれたというわけだ。相談役・顧問の「院政」パワーをまざまざと見せつけた。

 もうひとつは、MUFG傘下の三菱信託銀行の議決権行使だ。17年6月22日に、同じ三菱グループである三菱自動車が開催した株主総会において、会社側が提案した取締役11人中5人の人事案に「NO」を突き付けた。

 反対票を投じた5人の中には、社外取締役の候補者だった三菱重工業の宮永俊一社長と三菱商事の小林健会長も含まれていた。三菱グループの御三家の首脳陣を、いずれも「独立性の観点から問題がある」とした。三菱グループでは前代未聞の出来事である。

 MUFG銀行への社名変更問題、三菱UFJ信託の議決権行使問題。固い結束力を誇ってきた三菱グループだが、今後は外に開かれたグローバル企業に脱皮しなければ生き残れないという危機感が深い亀裂を生んだといえる。

 その姿は、構造不況業種と化した銀行業の苦悩を映し出している。
(文=編集部)

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