東京商工リサーチが2018年3月期の「役員報酬1億円以上(1億円プレーヤー)」ランキングをまとめた。3月期決算の上場企業2421社のうち1億円以上の役員報酬を開示した企業は240社、538人(6月29日時点)。前年(223社、466人)を上回り、過去最高となった。
役員報酬の最高額は3月末まで社長を務めていたソニーの平井一夫会長で27億1300万円(前年9億1400万円)。ソニーのトップとして史上最高額だ。
2位はソフトバンクグループ副会長のロナルド・フィッシャー氏で、20億1500万円(前年24億2700万円)。3位が同じくソフトバンクグループ副社長COO(最高執行責任者)海外事業統括のマルセロ・クラウレ氏で、13億8200万円(前年は開示なし)。
自動車、電機、医薬品、商社、銀行の会長・社長の役員報酬をリストアップしてみた。
自動車業界は、日産自動車のカルロス・ゴーン会長が7億3500万円。同じく日産の西川廣人社長は4億9900万円で、トヨタ自動車の豊田章男社長(3億8000万円)を上回る。ゴーン氏の報酬は前年(10億9800万円)より33%減った。17年4月に社長兼CEO(最高経営責任者)を退いて会長に就いたためで、4年ぶりに10億円を下回った。
業界で役員報酬がもっとも高かったのは、トヨタの販売を担当するディディエ・ルロワ副社長で10億2600万円(前年6億8300万円)。ゴーン氏は自動車業界トップの座を明け渡した。
電機はソニーの平井一夫会長の27億1300万円で断トツ。前年(9億1400万円)より17億9900万円増え、他を寄せ付けない独走ぶりだ。
平井氏の基本報酬は2億4400万円。今でも取締役だが「代表取締役社長」としての退職金11億8200万円を株式で受け取っており、これが報酬額を押し上げた。業績連動報酬も6億4700万円、付与されたストックオプションも20万株(1株当たり公正価格の2045円で換算すると4億900万円)、譲渡制限付株式付与数が5万株(1株当たり発行価格の4365円で換算すると2億1800万円)。このほかにも、所得税額の一部を補填するフリンジ・ベネフィットが1300万円。上乗せできるものは全部付けるという、まさに“大盤振る舞い”の待遇を受けた。
ソニーは18年3月期に過去最高益を更新した。ただ、中身はリストラ効果と金融事業の寄与だ。ソニーらしい商品は、この期も生み出せなかった。平井氏は27億円の高額報酬に値する働きをしたのか、と疑問視する声が出ている。