10万人当たりの女性医師数で目立つのは西日本の各県
都道府県別の女性医師の数、比率はどうなっているのだろうか。女性医師数の上位を調べると、ほぼ人口に比例していることがわかる。
東京都1万2117人(29.2%)、大阪府5272人(22.1%)、神奈川4634人(24.7%)、愛知県3441人(22.1%)、福岡県3009人(19.8%)、兵庫県2771人(20.1%)、千葉県2499人(21.1%)、埼玉県2372人(20.3%)、北海道1934人(15.2%)、広島県1409人(19.5%)。
これを人口10万人当たりのデータ(医師数・比率)でみると、意外な結果が出てきた。全国平均は医師全体(医療施設の従事者)で240.1人、男性医師189.4人、女性医師50.7人である。女性医師の割合が高い都道府県は次の通り。
東京都88.9人・29.2%、徳島県72.8人・23.0%、京都府69.1人・21.9%、高知県64.4人・21.0%、岡山県61.8人・20.6%、大阪府59.7人・22.1%、福岡県59.0人・19.8%、香川県57.5人・20.8%、佐賀県57.4人・20.7%、和歌山県55.0人・19.0%。
徳島県、京都府、高知県、香川県、佐賀県など西日本の県が圧倒的に多い。女性医師の比率は全国水準の21.1%と変わらないから、人口比で医師の数が多いことが反映しているのだろう。ちなみに徳島県(人口約74万人=平成30年7月)は、10万人当たりの医師数は315.9人で全国1位である(絶対数は2369人で全国40位)。
数々のデータを分析、検証したが、女性医師の比率は年々高まってきているとはいえ、まだ21.1%にすぎない。古い資料だが、OECD(経済協力開発機構)加盟国の比較データ(2011年)でみると、北欧、東欧諸国は女性医師の比率が軒並み5割を超えている。OECDの単純平均は41.5%、米国は30.8%、日本は18.0%だった。当時に比べ増加傾向にあることは間違いないが、出産、子育てなどで休職、離職する女性医師が少なくない。
平成25年の臨床研修修了者アンケートで、「子育てをしながら勤務を続ける上で必要な条件は」との質問に対し、女性の回答で多かったのは「職場の理解・雰囲気」「短時間勤務制度」「当直や時間外勤務の免除」などだった。
これは女性医師に限った問題ではない。政府は「女性活躍推進」を重要政策に掲げてきたが、実態はお寒い限りだ。社会全体で改善に取り組んでいくテーマといえる。
(文=山田稔/ジャーナリスト)