裏口入学をめぐる文部科学省前局長の汚職事件で揺れる東京医科大学が、女子受験生に対する一律減点により女子合格者数を意図的に低く抑えていたと報じられている。8月2日付読売新聞によれば、2011年から一般受験の一次試験(英語・数学・理科)で女子受験生の得点に一定の係数をかけることで減点し、女子合格者を意図的に3割前後に抑制していたという。
女性医師が結婚、出産などで離職して系列病院で医師が不足する事態を防ぐためだというが、文科省は2002年に「私立大学における入学者選抜の公正確保等について」と題する以下の文部科学事務次官通知を出している。
「入学者選抜に関し一切の疑惑を招くことのないよう、下記の点に留意し、更に入学者選抜方法の改善及び経理の適正な処理に努めるとともに、入学者選抜の管理運営体制全般について十分に点検を行い、必要な点について早急に改善されるよう強く要請します」
今回の件を受け、他の医科大学や大学医学部でも同じような行為が行われているのではないかという見方も広まるなか、聖マリアンナ医科大学の女子入学者が2017年度以降、現役と1浪だけになっていることが一部で注目されている。
聖マリアンナ医大のHP上に掲載されている「現浪別構成比」というデータで女子入学者数を見ると、16年度までは2浪、3浪、4浪以上も入学しているが、17年度と18年度は現役と1浪だけで、2浪以上はゼロとなっている。また、18年度の現役の入学者数は17年度の2倍となっている。
【各年度の女子入学者数。( )は2浪以上】
・14年度:45人(16人)
・15年度:39人(14人)
・16年度:49人(23人)
・17年度:40人(0人)
・18年度:45人(0人)
その理由について、聖マリアンナ医大教育課入試係に話を聞いた。
「私どもは成績順で取っております。一般入試は一次が英語、数学、理科2科目の400点満点、二次は小論文100点と面接100点を最終的にトータルして合否結果を出しています。2017年度と2018年度はたまたま現役と1浪の方が合格しただけ。意図はありません。当大学は在学生に占める男女の割合も6対4で女子の比率が高いのが特徴。データを見ると現役生と1浪が多く見えますが、これは昨年から推薦入試の制度を変えたためです。
今までは指定校推薦だけで20人の募集枠でしたが、昨年から一般公募制の推薦入学試験も導入して10人増員した関係で、推薦だけで30人の募集枠になったのです。昨年は推薦の合格者が5名増えて35名になったため、結果的に現役生が増えてしまったように見えますが、推薦制度を変えたことによるもので、一般入試で現役と1浪を優遇しているわけではありません。
二次試験の面接でも女子に結婚、出産について聞くことはありません。うちは聖マリアンナという名前からも女子大と思われるような大学ですし、もともと女性が比較的多い大学だと思っております。学生に女性が多く、そのまま女性が大学に残ってくれるので、ほかの大学より女性教員の数も多い。それに、申し込めば一次試験の不合格者に対して成績の開示もするので、受験の透明性も確保できていると思っております」
東京医科大の問題を受け、聖マリアンナ医大も思わぬかたちで注目を集めてしまったようだ。
(文=兜森衛)