「モスバーガー」が客離れで苦しんでいる。7月の既存店客数は前年同月比7.1%減で、10カ月連続の前年割れだ。特に今年に入ってからの減少幅が尋常ではなく、1月が1.9%減、2月が3.4%減、3月が4.7%減、4〜7月の累計が6.6%減となっている。売上高は7月まで6カ月連続で前年を下回った。
客離れはここ数カ月が特に著しいが、それ以前から客数の減少は続いていた。2014年3月期から18年3月期まで5年連続で前年割れを起こしている。客離れが止まらない状況にあるといえる。
運営会社のモスフードサービスの業績も厳しい状況にある。8月10日に発表した18年4〜6月期の連結決算は、売上高が前年同期比5.9%減の163億円、本業の儲けを示す営業利益が同62.0%減の3.7億円だった。最終的な儲けを示す純利益は同60.5%減の2.9億円となっている。客離れが大きく影響した。
モスバーガーがこの1、2年において、何か失策を犯した形跡は見当たらない。たとえば、食中毒が発生したり従業員が問題を起こしたりしていれば、客数が減るのは致し方ないといえるのだが、筆者が確認した限りでは、そういった大きな問題は発生していない。
新商品の投入や販促において問題があったわけでもない。昨年、発売約2週間で100万食売り上げた人気バーガーを今年1月から復活販売したほか、2月からはミスタードーナツとコラボした玩具を販売したり、7月からは消費者からの復活リクエストが多かった「ナン」を使ったメニューを復活販売している。もちろんこれらは一例にすぎず、さまざまな施策を講じている。そうしたなかで失策があったわけではない。
このように、モスバーガーで何か大きな問題があったわけではない。では、なぜモスバーガーで客離れが起きているのか。それは、モスバーガーの施策が無難なものに終始してしまい、外食市場の大海原の中で埋没してしまったからだと考える。
先述した通り、新商品の投入や販促の面で失策はなかった。適時、無難に施策を講じてきた。これが“平時”であれば、特段問題はなかった。しかし、今のハンバーガー市場は“大乱世”といえる情勢だ。大乱世で無難な施策を講じていては埋没してしまう。モスバーガーは、大乱世の市場において無難な施策で乗り切ろうとしたため埋没してしまい、客離れにつながったと考えられる。