2013年にセブン-イレブン・ジャパンがいれたてコーヒー「セブンカフェ」を本格展開したことで瞬く間に広まったコンビニコーヒー。筆頭格ともいえるセブンカフェは、1年間で約10億杯も売るモンスター商品に育った。来年2月には累計販売数が50億杯に達しそうな勢いだ。一方でファミリーマートやローソンも力を入れており、コンビニコーヒー市場をめぐる争いが熱を帯びる。
「打倒セブン」、といったところだろうか。ファミマは9月11日、いれたてコーヒー「ファミマカフェ」のコーヒーマシンを全面刷新し、10月から順次導入すると発表した。新型マシンを導入するにあたり200億円を投資し、コーヒーの売上高を1割以上上げる考えを示している。おいしさを高め、競合に対抗したい考えだ。
新型マシンは抽出方式をエスプレッソ式からドリップ式に改めた。なお、セブンカフェはドリップ式を、ローソンのいれたてコーヒー「マチカフェ」はエスプレッソ式を採用している。
ドリップ式は粉コーヒーにお湯を少しずつ入れてゆっくり抽出する方式で、エスプレッソ式は粉コーヒーに高い圧力をかけて短時間で一気に抽出する方式だ。両者は抽出の方法が違うため味わいなども異なる。どちらを好むかは、もちろん人それぞれだ。
なお、セブンはかつて「バリスターズ カフェ」と呼ばれるエスプレッソ式のコーヒーを一部店舗で提供していたことがあるが、人気が出なかったという苦い経験を持っている。その失敗を教訓に、新たにいれたてコーヒーの開発に着手した。独自の調査から、ドリップ式のほうが日本人の嗜好に合い、広く普及させる上で適しているとの結論に達したという。こうしたことから、現在はドリップ式を採用している。
ファミマは今回の刷新において、セブン同様にドリップ式を採用した。これにより、すっきりとした味わいを実現した。また、ふわふわのフォームドミルクをつくれるようになり、滑らかな口当たりのカフェラテの提供も可能になったという。
メニューも一新した。ブレンドコーヒーやカフェラテのほか、希少性が高いコーヒー豆を使用した「スペシャルティコーヒー」や「抹茶ラテ」など、メニューを従来の8種類から最大で16種類に増やしている。カップのデザインも一新し、専門店をイメージするデザインを採用したという。
各社がしのぎを削るいれたてコーヒー開発
集客が見込めるいれたてコーヒーは、コンビニ各社が力を入れている。
セブンは今年3月にセブンカフェを刷新した。豆の焙煎方法を2種類から3種類に変更したほか、1杯に使うコーヒー豆の量を約1割増やした。抽出方法はドリップ式から変えていない。一方で豆を蒸らす時間を変えたことで、より旨みを引き出すことができるようになったという。この刷新により、従来と比べ豆の苦味とコクが強くなった印象がある。